上司や顧客への返答に「了解です」はアリ?
コロナ禍をへて大きく変わった私たちの働き方。ビジネスマナーにも、時代に合わせて大きく変化するものがあれば、全く変化しないマナーも存在する。「こんなとき、どう対応するのが正しいの?」といった疑問に、NPO法人日本サービスマナー協会の特別マナー講師、井手奈津子さんが回答する。
連載4回目のテーマは、ビジネス上の会話やプライベートでのやり取りを問わず、よく耳にする「了解しました」というあいさつ。使い勝手がよい言葉だが、少々カジュアルな印象も受ける。上司や取引先の相手に使うことは問題ないのだろうか。
――ビジネスシーンで「了解です」という言葉は問題ないでしょうか
井手講師: 「了解です」という言葉は正しい言葉として存在するので、本来は使用しても問題ないでしょう。ただ、仕事で上司やお客さまに対して使う時は、少し慎重に使用した方がよいです。
――上司やお客さまに対してはふさわしくないのでしょうか
井手講師: 言葉の丁寧さという観点では、「了解しました」は、相手に少々カジュアルな印象を与えます。また「了解」には承認の意味合いが含まれるため、上の立場の人が若手や後輩に対して使うことは失礼にあたりませんが、上司やお客さまに対しては「承知しました」が最も丁寧です。
――上司やお客さまに対しては「承知しました」が適切なのですね
井手講師: ただ私自身、色々な企業を見てきて思うのですが、社内でどのような言葉を使うかは、最後はその職場の社風やルールによるところが大きいでしょう。お客さまに対しては「承知しました」を使った方がよいですが、社内での使用については相手との関係性や距離感で使い分けてください、とお伝えしています。職場にはそれぞれに「共通言語」があるわけで、そこまで固くないとか、社員皆が「了解」という言葉遣いを標準としている職場もあります。そういう職場では使っても問題ないですよね。
――そこは柔軟に対応すればいいのですね
井手講師: 正しい言葉を知るのは大事なことですが、正しい言葉を知った上で、相手に合わせて言葉を崩したり、使い分けることがとても大事なことだと考えます。新入社員が上司に「さようでございますか」とばかり話していても、関係性を築くことは難しいですよね。敬語は過剰でなく適度に使うことが大切です。
――正しい言葉を知った上で言葉を工夫することが大切なのですね
井手講師: 企業の若手社員研修で「先輩と話す際にどこまで言葉を崩していいですか」という質問をよく受けます。そういう時は、「崩そうと思っているうちは崩さなくていいですよ」と回答しています。言葉は、人間関係が築かれていけば自然と崩れ、冗談のひとつも言い合えるようになります。このあたりは人間関係によるところが大きいでしょう。
失礼な返答をしないように気を付けたいですね。
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