【社会】『ごきぶりホイホイ』が改良重ねて生まれ変わった歴史と現在の姿とは?
経営危機救った「ごきぶりホイホイ」 改良重ねた半世紀
(出典:産経新聞) |
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1 ◆Sen4E3P802 愛の戦士 ★ :2023/04/18(火) 10:08:51.61ID:12VwqyMp9
「ごきぶりホイホイ」が一括生産されている坂越工場=兵庫県赤穂市
ゴキブリを家の形の紙箱に誘いこんで捕獲する「ごきぶりホイホイ」が発売されてから、今年で50年を迎えた。簡単に捕まえて捨てられる手軽さが好評で、ゴキブリが入りやすくするなどの工夫を重ねてきた。製造販売するアース製薬は海外にも販路を広げ、兵庫県赤穂市の坂越(さこし)工場で一括生産。虫の習性の研究所も併設し、製品開発への飽くなき探求を続けている。
◆強力な粘着剤も自製
「台紙に粘着剤を塗り、表面に凹凸を付けてから家の形に折りたたみます」
機械の音が鳴り響く坂越工場の生産ライン。担当者が説明する間に、おなじみの製品が次々に箱詰めされていく。捕獲力を生み出す粘着剤と誘引剤も同工場で製造。粘着剤は30キログラムのドラム缶も持ち上げるほど強力だ。誘引剤はエビ、肉、野菜に特製の材料を加えているそうだが、山本隆浩工場長によると「詳しい中身は企業秘密」だそう。
約30カ国への輸出分を含めて1日約4万8千セット生産し、年間の販売数量は約320万セット(令和4年)。海外の販売比率は平成14年の8%から令和4年の約30%まで大きく伸びている。
紙を折る機械は昭和52年製の2台が今も現役。コンピューター制御がない古いタイプだが、定期点検を確実にして使い続ける。同社の久保浩之上席執行役員・生産本部本部長は「紙が破れたりしないよう、折り曲げ工程は歯車やチェーンなどの微妙な調整が必要」と話す。工場では20代を中心に約10人が工程を管理。「若手が技術を身に付ける貴重な場になっている」
◆試行錯誤で危機克服
半世紀もの間、家庭に欠かせないヒット作が誕生したきっかけは同社の経営危機だった。
昭和40年代、同社は主力の炭酸マグネシウムが売れなくなり経営不振に陥った。45年に大塚グループが出資し、創業家の大塚正富氏(故人)が社長に就任すると、目をつけたのが、高度成長で住宅開発が進む中で需要が膨らんでいたゴキブリの捕獲だった。大塚氏は夏にセミの鳴き声を聞いて「昔は(樹皮などからつくる粘着性の)トリモチでセミを捕まえていた」と思い出すと、紙の箱に粘着剤と餌を仕込み、捕獲後は捨てることができる試作品をつくった。
ところがゴキブリは触角が粘着剤に触れることで危険を察知して逃走。「入り口に斜面をつくって上らせれば、触角が粘着剤に当たらない」。ある社員の提案が当たり、次々にゴキブリが入り込んだ。
当初は「ゴキブラー」との名称で発売予定だったが、「おどろおどろしくて売れない」と、大塚氏が自ら「ごきぶりホイホイ」と名付け、ゴキブリを愛嬌(あいきょう)のある姿で描いたデザインも手掛けたという。