「ですから」「だから」などのダ行はNG…厄介なクレーマーを確実に落ち着かせる「サ行の対応フレーズ」とは

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「ですから」「だから」などのダ行はNG…厄介なクレーマーを確実に落ち着かせる「サ行の対応フレーズ」とは

厄介なクレーマーにはどう対応すればいいのか。クレーム対応に詳しいエンゴシステム代表の援川聡さんは「『ですから』や『だから』などのダ行の返答は避けたほうがいい。どれだけ丁寧でも、相手の怒りを増長させてしまう。おすすめは『さようでございますか』や『承知いたしました』などのサ行の返答だ」という――。

※本稿は、援川聡『職場の困った人対応マニュアル』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。

■近年、増加してきている“グレーなクレーマー”

私は警察官から民間の大手スーパーマーケットに転職し、クレーム対応や危機管理に従事してきました。そこでわかったことは“時代によってクレーマータイプが変わってきた”ということです。

以前は、大声で怒鳴ったり、高圧的で脅しに近い態度をとって、慰謝料や品物を奪い取ろうとする、暴力的な、いかにも悪い人がほとんどでした。見た目も重い雰囲気をまとっているので、窓口に来ただけで「やっかいな相手が来た」と、わかりやすかったのです。

現在は一見、普通の顧客と思われる人が常識では考えられない理不尽な要求を突き付けてきたり、ギリギリ取り締まることのできない詐欺まがいの行為に走ったりします。つまり、“グレークレーマー”が増えてきているということです。嫌がらせいじめに近いことをする、“カスタマーハラスメント”という言葉も、最近になって注目されてきました。

同様に会社の中でも、ハラスメント規制法(労働施策総合推進法)の施行や働き方改革により、頭ごなしに怒鳴る、無理な時間外労働を強要するなど、あからさまなハラスメント行為は注意されるようになってきました。ただ現場ではどうしたら良いか迷っているのが実情でしょう。

その中で、職場の人間関係にストレスを抱える人が減っているかというと、そうではありません。実際にはクレーマーと同様に“グレーな困った人”として、タイプが変わってきたのです。こちらも離れた場所にいるだけなら、ごく普通の人なので、判断することができずに、「入社して初めてわかった」「同じ部署になるまで、そんな人だとは思わなかった」などと、一緒に働くまでは気づけないケースがよくあります。

■「でも」「だって」などのダ行はNGワード

誰かから注意をうけたとき、とっさに「でも」「だって」と返してしまうクセがあるなら、要注意です。

「だって」
「でも」
「ですから」

これら「ダ行」の返答は、グレーな攻撃型の神経を逆なでするNGワード。相手の怒りを倍増させ、さらに面倒な事態を招きます。特にグレーな攻撃型は、これらの言葉からこのようなことを感じ取ります。

「だって」……(そんなことを言われても困る)という逃げ腰
「でも」……(それは違うんじゃないか)という反抗的な態度
「ですから」……(そんなこともわからないの?)という上から目線

「ですから」は「だから」の丁寧な表現ですが、丁寧な言葉を使っても相手を否定しているというニュアンスは残ります。グレーな攻撃型は、そのニュアンスを敏感に感じ取り、過剰に反応してきます。その正当性はさておき、自分が非難されることに我慢ならず、非難してくる人を許せないのでしょう。

「ダ行」を言わないようにするのは難しいと感じるかもしれませんが、簡単に封印する方法があります。その方法とは、「ダ行」を「サ行」に変換することです。

「だって」→「承知いたしました」
「でも」→「すみません
「ですから」→「失礼いたしました」

このように、「ダ行」を「サ行」ではじまる言葉に変換すればOKです。言い返したくなる気持ちはとてもよくわかりますが、すぐ逆上する相手に正論をぶつけても仕方ありません。ここはぐっと堪えて、冷静に対応してください。

■相手の怒りをしずめる「3つのあいづちパターン」

また、相手の怒りをしずめ、解決の糸口を見つけるためには、「あいづち」で共感を示すことも重要です。基本として、次の3つのパターンのあいづちをマスターしておくといいでしょう。

①「はい」「さようでございますか。」

ストレートに相手の話に同調するときに使います。あいづちの基本形といってもいいでしょう。声のトーンによって、さまざまなニュアンスを伝えることができます。

②「ごもっともです」「おっしゃる通りです」

やや強めに相手の意見に同調するときに使います。ただし、あまり頻繁に用いると嫌味に聞こえることがあるので注意しましょう。

③「そうなんですか」「そんなことがあったんですか」

感情を込めて相手の話に同調するときに使います。ただし、これも過剰に用いるとかえって不快感を与えることがあるので注意します。

あいづちを打ちながら傾聴している間、相手の的外れな発言や理不尽な要求に思わずダ行の言葉を言いそうになったら、頭の中でサ行に置き換えます。あいづちからサ行へと言葉をつないでいけば、相手の興奮は徐々に収まり、会話がスムーズに流れるようになるでしょう。

■いざというときに使える「サ行のキラーフレーズ」

NGワードは、今まで無意識に使っていたり、慌ててしまうと、つい口にしてしまいます。まずは頭の中でイメージするところからはじめましょう。慣れてくれば、特に意識をしなくてもスラスラ出てくるようになります。

あいづちやサ行の返しをストックし、いざというときにさっと言えるよう練習しておくといいですね。あまり使い慣れないうちは不安が残ると思いますが、とっておきのフレーズを伝授します。

「サ行のほめ言葉」というのをご存じでしょうか。

「さすがですね」
「知りませんでした」
すごいですね」
センスがいいですね」
「そうなんですね!」

このようにあいづちを打たれたら、悪い気になる人はそう多くないでしょう。クレーム対応においても、「さしすせそ」のキラーフレーズを覚えておくと便利です。

さ「さようでございますか」
し「失礼いたしました」「承知いたしました」
す「すみません
せ「……」
そ「そうなんですか」

「せ」には台詞がありませんが、実はここが最も重要です。声には出さなくても、「責任を持って、対応する」という気持ちを常に持っていてください。そうすることで、グレーな攻撃型に対峙(たいじ)する胆力が備わります。

■5分は傾聴し、15分で切り上げ始め、30分で終わらせる

特に“説教好きなタイプ”は、話すことが目的化していることがあり、対応に苦労することが多いのです。グレーな攻撃型も同様です。先ほど、まずは話を聞き、相手に寄り添う姿勢を示すことが大事だとお伝えしましたが、いつまでも話に付き合っていると、業務に支障が出てくるだけでなく、相手に取り込まれる危険性も高まります。

では、どのようなスタンスで向き合えばいいのでしょうか。それは、傾聴の姿勢を念頭に置きながら、時間を区切って応対することです。たとえば、「ちょっと来てくれ」と呼ばれたら、その場では5分間だけ対応すると決め、5分経ったら「立たせたままではつらいので、会議室に移ってお話ししませんか」「急ぎの業務を片づけなければいけないので、申し訳ないのですが、あらためてお時間をつくっていただけますでしょうか」などと伝えるという具合です。

場所を変えたり、時間を空けることで、相手の興奮がクールダウンすることが期待できます。言い換えれば“うまく後回しする技術”ともいえます。クレーマーの自宅を訪問した担当者から「3時間話し合ったが、納得してくれなかった」という話もよく聞くように、長時間粘ったからといって、いい結果が得られるわけではありません。むしろ集中力が切れ、話の要領を得ないこともよくあります。

そもそも、「相手の言い分を聞き、なにごともよく話し合って解決を図ろう」という解決策は、一方的に攻撃してくる相手とのやりとりでは通用しません。相手と話していておかしいなと感じたら“寄り添う”傾聴姿勢から、“突き放す”切り上げ態勢へと、早めにモードチェンジすることが大切です。

グレーな攻撃型とのやりとりは、「30分」をめどに切り上げることが基本です。時間配分としては、はじめの5分間は傾聴し、15分経ったら切り上げる方向に持っていき、30分経ったところで終わらせるのが理想です。

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援川 聡(えんかわ・さとる)
エンゴシステム代表取締役
1979年大阪府警察官を拝命。95年に大手流通業マイカルに就職し、元刑事の経験を生かしたトラブルクレーム対応にあたる。2002年エンゴシステムを設立。

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※写真はイメージです – 写真=iStock.com/takasuu

(出典 news.nicovideo.jp)

サ行のフレーズ。
たしかに共感されると誰でも良い気分になりますね。

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