【芸能】松井玲奈、音楽劇『歌妖曲 中川大志之丞変化』で復讐心に燃える悪役に挑戦「悪なりの正義という道理がある」

【芸能】松井玲奈、音楽劇『歌妖曲 中川大志之丞変化』で復讐心に燃える悪役に挑戦「悪なりの正義という道理がある」

【芸能】松井玲奈、音楽劇『歌妖曲 中川大志之丞変化』で復讐心に燃える悪役に挑戦「悪なりの正義という道理がある」

映画『よだかの片想い』(2022年)、NHK連続テレビ小説『エール』(2020年)などでの演技が高く評価されている、松井玲奈。11月6日(日)より東京の明治座、12月8日(木)より福岡のキャナルシティ劇場、12月17日(土)より大阪の新歌舞伎座にて上演される音楽劇『歌妖曲〜中川大志之丞変化〜』では、昭和の芸能界に君臨する「鳴尾一族」に怨恨をいだくレコード会社社長、蘭丸杏を演じる。松井は同役をどのようにとらえているのか、話を訊いた。

――松井さん演じる蘭丸杏は鳴尾家への報復を企てる、一見怖そうなキャラクターですね。彼女の生き方や狙いをどのようにとらえていらっしゃいますか。

杏は、鳴尾一族への復讐心で行動を起こすので、感情や動機そのものはシンプルなんです。そしてカテゴライズとしては、今作では悪役になります。でも悪には悪なりの正義という道理があると思うんです。それを、お客さまにも筋が通った形でお届けしたいです。単に悪い女性ではなく、そうなる前には違った一面も持っていたはずですし。それらをお芝居のなかでエッセンスとして込めていくことで、キャラクターがより豊かになると考えています。

――杏にとっての正義とは、どういうものでしょうか。

鳴尾一族への復讐にいたる動機ですね。「私はこういうことをされた。だから、あなたたちが憎い」というもの。物語的には悪役に見えるけど、彼女自身の目線ではそうではない。台詞だけではなく、心の底から憎いと思っているようにお芝居を作っていきたいんです。そうしないと杏というキャラクターの魅力が台無しになる恐れがある。だから、鳴尾一族の人たちと対峙する時は心の底から憎しみを抱いてぶつかっていきます。

――松井さん自身、杏のように、妬み、嫉みが物事の原動力になることはありますか。

憎しみはないですが、怒り、悔しさはなにかのバネになることはあります。だけど、人に対してというより「なんで私はできないんだ」と自分に向けての怒りが多いです。「どうして失敗したんだ」と。マイナスエネルギーを糧にしていくことは、割と多くあります。舞台の稽古中はできないことがたくさん見つかるし、毎日のように壁にぶち当たる。それを乗り越えるためには、私はポップな気持ちではやっていられないのです。楽しい気分で壁を乗り越えたり、壊したりすることができない。負の感情を結果的にプラスに転じるにはどうしたら良いかを考えながら物事に取り組みますね。

――自分自身との戦いという感じですね。

舞台のお仕事に関しては毎日、自分と戦っているイメージです。もちろん映像作品でも自分の内面と向き合って戦っています。ただ、舞台は同じ演目を稽古も含めて2、3ヶ月はやっていくので「どうしたら、役や作品がもっと良くなるのだろう」と、カンパニー全体でブラッシュアップし、濃密に作り上げていきます。映像ももちろん濃密で、現場でもみなさんと話し合いを重ねますが、どちらかというと瞬発力を求められる気がします。舞台は時間をかけて同じことを繰り返していくので、持久力が必要になる。しかも、同じことを繰り返しながらも常に新鮮な気持ちを忘れないようにしなければなりません。

――そんなカンパニーのなかで今回、初舞台でありながら座長をつとめるのが中川大志さん。中川さんの印象はいかがですか。

座長としてはもちろんのこと、歌の場面などでのプレッシャーも大きいと思います。でも私自身は、鳴尾定、桜木輝彦という役に向き合っている中川さんに一生懸命ついていきたい。素敵な歌声をしていらっしゃって、聴いていて心が震えるような瞬間もあります。ステージの上でそれを披露される日が来ることが、私も楽しみです。

――中川さんが演じる桜木輝彦は、歌謡界のスター。ちなみに松井さんが思い描く理想のスター像はどんなものでしょうか。

トム・クルーズさん! いま「あなたにとってスターは誰ですか」と聞かれた瞬間にレッドカーペットの上を、手を振りながら颯爽と歩いているトム・クルーズさんの姿が真っ先に浮かびました(笑)。そうやってパッと頭に浮かぶ人こそ、スターなんだと思います。スター性を持っていらっしゃる方は、スターとしての自分を演出できる人だと思うのです。客観的な視点で、どういうふうに振る舞えば自分が光り輝いて見えるかを分かっているというか。そういう自己プロデュースに長けた方は、一緒にお仕事をしていても「すごいな」と感じます。

――松井さんはそういう一面は持っていらっしゃいますか。

日常とお仕事のスイッチのオン、オフはあるけど、「こうやったら輝いて見えるだろう」みたいなものは、自信を持って「あります」とは言えません。もしもスターとして見てもらえるならラッキーです(笑)

――この作品は昭和の芸能界の表裏の描かれ方も見どころになりそうですね。

私は現代の芸能界に身を置いていて、光と陰を感じたことはないんです。でも今回の作品のなかでは、芸能界、歌謡界の光と陰をはっきりと描いている気がします。たしかにそこが大きな見どころではないでしょうか。舞台の上でスポットライトを浴びている人が、実はバックステージでは別の人間性を持っている。物語を通して、そういう光と闇のコントラストの強さに興味を持っていただけると思います。

取材・文=田辺ユウキ 撮影=高村直希


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松井玲奈

(出典 news.nicovideo.jp)

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