何か関係あるの?!「水族館の巨大水槽」と「うどん」

何か関係あるの?!「水族館の巨大水槽」と「うどん」

何か関係あるの?!「水族館の巨大水槽」と「うどん」

水族館ではジンベエザメが優雅に泳ぐような大きな水槽を見ることが出来るが、この巨大水槽はアクリル製のものが一般的である。

香川県木田郡三木町に本社を置くアクリル樹脂パネルメーカーの日プラ(にっプラ)株式会社は、大阪の海遊館や沖縄美ら海水族館をはじめとする水族館の水槽を製作する会社として知られる。

また、この会社は水族館用のアクリルパネルの大きさで何度もギネス世界記録に認定されている。

◆日プラ本社

2002年(平成14年)には沖縄美ら海水族館の巨大水槽「黒潮の海」に、高さ8.2m、幅22.5m、厚さ60cm、総重量135tのアクリルパネルを設置し、当時のギネス世界記録に認定された。

◆巨大水槽「黒潮の海」

その後、2008年(平成20年)にドバイのショッピングセンター「ドバイ・モール」内にある水族館に、高さ8.3m、幅32.88m、厚さ75cmのアクリルパネルを設置し、記録を更新。

さらに、2014年(平成26年)には中国の珠海長隆海洋王国(しゅかいちょうりゅうかいようおうこく:チャイムロング・オーシャン・キングダム)で沖縄美ら海水族館の約2倍の、高さ8.3m、幅39.6m、厚さ65cmのアクリルパネルを設置し、自らのギネス記録を更新した。
このような大きなアクリルパネルはどのようにして作られるのか。ベースとなるのは高さ3.5m、幅8.5m、厚さ4cmのアクリルパネルである。水圧のかかる水族館の水槽には50cm以上の厚みが必要となる。この厚さ4cmのパネルを何枚も重ねて、貼り合わせることで大きな1枚のパネルを作っている。

そのため、何枚も貼り合わせた厚いアクリルパネルを横から見ると、継ぎ目の部分に少しだけ線が見える。

厚さ60cmのアクリルパネルを作るためには、厚さ4cmのパネルを15枚重ねる必要がある。この分厚いアクリルパネルの特徴は、高い透明度で、何枚もパネルを重ねているのにクリアな視界が保たれている。

このアクリルパネルの高い透明度を維持するために必要なものが、同社の社長・敷山哲洋(しきやま てつひろ)が考案した接着技術である。パネルと同じ成分の接着剤を使用することで、透き通ったクリアなアクリルパネルを作ることが出来た。

しかし開発時には、パネルとパネルを重ねて接着する際、接着剤が液体のため放っておくと接着剤が流れ出て、パネルが傾いて接着してしまうという問題があった。接着剤が流れ出ないようにするために、パネルの端でせき止める必要があったが、接着剤は固まると約2割縮むという性質があり、せき止めるものも同じように縮まないとパネルとパネルの間に隙間が空き、気泡も出来てしまう。

🤔「接着剤をせき止めて一緒に縮んでくれるもの」、そんな都合の良いものがないかと頭を悩ませていたところ、昼食に食べた香川県の名物「うどん」が問題を解決してくれた。

何気なく箸でうどんをつまんだ時、うどんの切れ端が床に落ちてしまった。
👉それがカーペットに貼り付いて、なかなか剥がれなかった。

「これは使えるかもしれない」と閃いた敷山社長は、すぐに会社に戻り、さっそく茹でたうどんをパネルの端に貼り付けた。

すると液体の接着剤は全く漏れなかった。ゴムなどあらゆるものを試しても駄目だったが、粘りのある「うどん」は「ゆっくり縮んでいく接着剤」としてちょうど良かった。

こうして十分な強度を保ちながら、透明度が高く、クリアに魚を見ることが出来る巨大アクリルパネルの開発に成功した。

👍これをきっかけとして、世界中の水族館がより大きな水槽で魚の世界を楽しんでもらおうと、巨大水槽を導入するようになった。

♦因みに、現在はうどんではなく、うどんと同じような性質を持つシリコン素材を使用している。このように世界中で使われている水族館の巨大水槽は「讃岐うどん」をきっかけに誕生したものだった。

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