「安倍氏は三代にわたって付き合いがあった」マスコミが書かない山上容疑者・統一教会・自民党をつなぐ点と線

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「安倍氏は三代にわたって付き合いがあった」マスコミが書かない山上容疑者・統一教会・自民党をつなぐ点と線

安倍晋三元首相の銃撃事件で、逮捕された山上徹也容疑者は「『統一教会』に恨みがあり、安倍元首相が近しい関係にあると思ってねらった」と供述していると報じられている。フリージャーナリストの鈴木エイトさんは、「統一教会は、その関連組織である勝共連合を通じて、長年にわたり日本の政界に幅広く浸透しており、特に第2次安倍政権以降、政界工作を活発化させていた」という――。

■山上容疑者が口にした「統一教会」とは

統一教会」(現在の正式名称は「世界平和統一家庭連合」、かつての「世界基督教統一神霊協会」)は、1954年に韓国で教祖・文鮮明(ムン・ソンミョン)が創設した団体である。

58年に日本へ進出、翌59年には日本統一教会が設立され、64年には宗教法人の認証を受けている。

その後、教団は、反共産主義を掲げる関連政治組織・国際勝共連合(1968~)を通じて、自民党を中心とした保守系政治家に接近し、秘書や運動員を派遣するなど、活発な政界工作を行った。

その一方で、日本社会との軋轢も表面化する。

65年には教団系列の学生組織・原理研究会(CARP)への批判報道(「親泣かせの原理運動」朝日新聞)がなされる。80年代以降は、高額な壺や、印鑑などを購入させる「霊感商法」、正体と目的を隠した「偽装勧誘」、教祖が選んだ相手とマッチングされた日本人女性信者が、韓国へ嫁がされた「合同結婚式」などの問題が報じられた。

■原罪を解消する儀式「合同結婚式」

統一教会は、文教祖と妻の韓鶴子総裁を絶対的な「真の父母様」として崇める教団である。

その統一教会が最も重要視するのが、「合同結婚式」(国際合同祝福式・祝福)だ。

教団の教えでは、人類の始祖であるアダムとエバが、蛇の姿をしたサタンと性交したことにより、全人類に原罪が生まれたとしている。

その「原罪」を、神の下での祝福によって解消するための、教団の最高儀式が、「合同結婚式」である。

1960年に第1回目の合同結婚式が韓国で行われる。

それ以降、四十数回にわたり、韓国を中心に、世界各国で開催される。

日本からも信者が多額の献金を持参し、韓国で「祝福」を受けてきた。

1990年代には、芸能人や有名スポーツ選手の参加が報じられ、大きな騒動となった。

現在は2世信者同士がお見合い形式でマッチングされるケースも増えたが、90年代までは教祖が信者の写真を見てマッチングしていた時期が長く、会場で初めて顔を合わせるカップルがほとんどだったという。

教団内では「エバ国家である日本はアダム国家である韓国に尽くす義務がある」とされており、「従順な日本人女性と結婚できる」として、「にわか信者」となった韓国人男性とマッチングされた、というケースも多数報告されている。また、合同結婚式によって生まれた「祝福家庭」の2世信者には、自由な恋愛感情を抱くことすら禁じられるという。

■「勝共連合」を通じて日本の政界に接近

その「統一教会」のいわば「別動隊」として、さまざまな政治活動を行っているのが、「国際勝共連合」である。

国際勝共連合は、徹底した反共産主義を掲げる、右派・保守系の組織だ。

その主張としては、中国共産党政権と日本共産党への批判が主で、韓国への批判は皆無という特徴がある。

日本の保守層においては、近年、反韓・嫌韓感情が渦巻いているが、そうした空気感とは異なり、1990年代以前の日韓両国は「反共の同志」として良好な関係にあった。

CIAの後ろ盾の下、「北朝鮮共産主義に打ち勝って統一/勝共統一」をスローガンに、反共活動組織を必要としていた韓国の朴正煕パク・チョンヒ)政権(1961~79)の庇護を受けるため、統一教会の文教祖は、反共産主義を掲げて朴大統領に取り入った。

67年に文教祖は、山梨県本栖湖畔で、戦後右翼の大物らと日韓反共首脳会談を開催。

それを契機として、翌68年1月、韓国で国際勝共連合を創設。

日本でも同年4月、安倍氏の祖父・岸信介総理大臣の後ろ盾によって、国際勝共連合が創設されることになる。

教団が政治に接近する狙いは、政権からの体制保護を得ることと、与党国会議員の教団イベント参加といった便宜供与にある。

一方、政治家のほうでは、選挙における組織票や、事務所スタッフの人手を欲している。

教団の「秘書養成所」で訓練された信者が、議員の元に送り込まれ、秘書や事務所スタッフ、選挙運動員となる。

当時の日本は安保闘争の真っただ中にあり、献身的に反共運動に邁進する青年を抱える勝共連合は、日本の政財界へ浸透していく。

70年9月には、勝共連合の主導により、日本武道館において「WCAL(世界反共連盟)世界大会」が開催される。74年5月、文鮮明教祖が帝国ホテルで開いた「希望の日」晩餐会には、岸氏の他、福田赳夫氏、安倍晋太郎氏ら、40人もの自民党国会議員と財界の要人が出席した。

■自民党と統一教会の蜜月関係

1979年にも、勝共連合は、「スパイ防止法」の立法を目指す自民党を後押しする。

教団は、フロント組織として、91年に世界平和連合、92年に世界平和女性連合を創設。

また、地方議員の後援会を結成するなど、政治の裏側で暗躍し続けている。

1990年代初頭には、衆参両院に、約200人もの「勝共推進議員」がいたとされる。

しかし、教団が引き起こしたさまざまな社会問題の影響や、東西冷戦の終結により、共産主義との戦いの必要性が薄れたことなどの影響で、教団と近しい関係の政治家たちは、90年代以降、次第に統一教会・勝共連合と距離を置くようになった。

2000年代後半には、日本全国の複数都市で、「霊感商法」を行う販社が摘発を受ける。

日本本部への家宅捜索や、宗教法人の認可剝奪を危惧した教団本部は、政治家対策を強化する。

近年では、自民党が法制化を進める「家庭教育支援法」や「青少年健全育成基本法」など、さまざまな法整備の背後で教団が協力していると言われている。

また、自民党の悲願である憲法改正への動きについても、さまざまな工作で下支えするほか、憲法24条の「家庭条項」を改正するため策動しているとされる。

教団の日本法人は、2015年、「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」へ、法人名の変更を認可されている。その際、安倍元首相の側近閣僚からの「圧力」があったのではと、永田町では噂になった。

■安倍晋三氏と統一教会の「三代にわたる関係」

こうした教団の政治進出が特に強まったのが、第2次安倍政権以降である。

憲法改正を掲げ、左翼批判を強めていた安倍晋三氏は、選挙支援などで、統一教会への依存を強め、統一教会との共存共栄関係が築かれていった。

政治家対策を担うUPFジャパンの梶栗正義会長は国際勝共連合会長就任前の17年8月、韓国での幹部集会で、韓鶴子総裁にこう報告している。

「最近、日本は雰囲気が変わってきました。以前、勝共連合の活動が活性化していた時と同じような、その当時は200名を超える議員たちがご父母様に侍(はべ)っていたのですが、その時と同じような雰囲気が近づいています」

安倍晋三氏の祖父である岸信介元首相は、首相公邸として使っていた建物を教団本部として使用させたほど、文教祖や教団と友好関係にあった。

また、父親の安倍晋太郎元外相は、統一教会員を自民党国会議員に対して秘書としてあっせんし、各議員を教団のセミナーに勧誘していたという。

しかし、安倍晋三氏は2006年の時点では、統一教会と一定の距離を置いていた形跡がある。

安倍氏統一教会との関係が最初に取り沙汰されたのは2006年5月。

UPFが福岡で開催したイベント「祖国郷土還元日本大会」に、当時官房長官だった安倍氏が祝電を送ったことが報じられた。

在野時代、保守系団体の会合や野外イベントで、安倍晋三氏は、妻の昭恵氏とともに、ある統一教会関連団体幹部と親しくなったという。

その後の安倍氏は、急激に教団との距離を縮めていく。12年12月に、安倍氏が政権を奪取すると、自民党議員の一部には、選挙の際には「組織票」となり、また選挙支援スタッフを派遣してくれる教団に依存する動きもみられた。

■13年参院選の「裏取引」疑惑

安倍氏統一教会の間には「裏取引」疑惑もあった。

2013年7月の参院選において、統一教会が全国の信者へ出した「通達」の中には、祖父・岸信介氏の恩人の孫で、安倍晋三氏肝いりの候補者への「後援」を「首相からじきじき」に「依頼」された旨の記述がある。

実際、当該候補は、教団の支援を受け、13年の参院選において当選している。

以降、教団やフロント団体のイベントに、安倍氏の側近を含む、多数の自民党国会議員の来賓が確認されている。

2016年に、UPFが創設した「世界平和国会議員連合」の日本創設式典には、当時の閣僚5人を含む、100名以上の国会議員(代理出席の秘書含む)が出席している。

また、統一教会と関係の深い議員が多数、閣僚や副大臣などに登用されている。

また、教団2世信者組織による安倍政権支持を訴える街宣活動が全国で行われたほか、複数の教団幹部が秘密裏に首相官邸へ招待されていたことも明らかとなっている。

全国弁連は2018年と翌19年に、全国会議員事務所に、統一教会と関係を持たないよう求める要望書を届けたが、以降も関係を続ける議員が続出した。

2021年9月12日、韓国の教団施設で開催された大規模オンライン集会に、安倍氏リモート登壇し、韓総裁を礼賛する映像が配信された。その翌月、梶栗正義・国際勝共連合兼UPFジャパン会長は、安倍氏との関係について、「温めてきた信頼関係がある」とし、文教祖や教団会長を歴任した父親(梶栗源太郎氏)時代から、岸信介氏、安倍晋太郎氏、安倍晋三氏との三代にわたる「付き合い」を誇った。

■統一教会の分派「サンクチュアリ教会」とは何か

12年9月に文教祖が死去し、韓鶴子総裁が名実ともに最高権力者となる。

その韓鶴子総裁は、教祖から後継者に指名されていた息子たちを追放し、自身の独裁体制を構築。日本の教団組織をその指揮系統下に置き、政界工作に従事させる。

当初、文教祖の後継者と目されていたのは、三男・文顯進(ムン・ヒョンジン)である。

その三男は、教祖存命中の10年に追放されている。

教団の経済部門である「統一教財団」を受け継いだ四男・文國進(ムン・クッチン/統一教維持財団理事長)と、宗教部門「世界宣教本部」を統括していた七男・文亨進(ムン・ヒョンジン/統一教会世界会長)も、文教祖の死後、相次いで要職を解かれた。

三男・文顯進は、10年に、教団の資産管理団体UCIを手中に収め、17年にはFPA(世界家庭教会)を創設。

文亨進は15年に米国で「サンクチュアリ教会」を設立。

そのサンクチュアリ教会に対しては、文教祖より銃砲会社を受け継いだ四男・文國進が、経済的支援を行っている。

韓鶴子派とこれら息子たちの分派の間では、資金送付先や不動産利権、教団ロゴマーク著作権などを巡って訴訟沙汰となった。

山上容疑者自身は、同教団と対立するこれらの分派に所属しているという情報もある。

特に銃弾で作られた王冠を巻き、銃を持って礼拝を行う「サンクチュアリ教会」との親和性が指摘されている。

ただし、同教会の日本支部「日本サンクチュアリ協会」は否定しており、事実関係については慎重に検証していく必要がある。

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鈴木 エイト(すずき・えいと)
やや日刊カルト新聞主筆
滋賀県生まれ。日本大学卒業。2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め『週刊朝日』『AERA』『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』に寄稿。宗教と政治というテーマのほかに宗教2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)

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安倍元首相のシンクタンク2022でのスピーチ – 画像=YouTube動画より

(出典 news.nicovideo.jp)

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