トイレは上司との会話に最適?

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トイレは上司との会話に最適?

 4月の入社や異動シーズンから数か月経過した現在でも、新しい職場に慣れず、上司や同僚との緊張関係がいつまでも続いている……なんてことはありませんか?

悩む会社員
画像はイメージです(以下同じ)

 社内の行事や飲み会の機会が少なくなり、業務のための無機質な会話のみが交わされている。そんなときは、ざっくばらんな会話を通じて、特に上司との堅苦しい関係を解きほぐすことが必要になります。有効策として、「上司とのトイレでの会話」が大変使えるのです。

 今回の記事では、大手人材紹介会社で教育研修部長を務めた経験がある川野智己氏が2人きりでの会話に困る場面と思われがちなシチュエーションを、出世への登竜門に変えてしまう考え方を紹介します(以下、川野氏寄稿)。

きまずい35秒間を過ごしたくない…

 旭川医科大学の松本成史教授による調査によると、日本人の平均の排尿時間の男性の平均は29.00秒であり、女性は18.05秒とのことです。実際は、前後の身支度の時間が加味されるので、男性の場合は35秒程度小用の便器の前に立っていることになります。

 ところが、そのほんの35秒間がとてつもなく長く感じることがあります。男子トイレの扉を開けた瞬間に、苦手な上司や先輩が先客として便器の前で用を足している姿を目にした時です。踵を返して、扉を閉めるわけにもいきません。避けていることが相手に分かってしまうからです。

 唐突に、場違いな話題を口にしたばかりに変わり者とみられたくもない、そんな気持ちが逆に焦りを引き起こします。

上司と会話するのに最適な場所?

会社 トイレ

 しかし意外ですが、実は上司と会話するうえで、トイレほど最適な場所はありません。お互いに相対することなく、下を向いて視線を合わせず横並びで話せば良いからです。当然、圧迫感も感じません。加えて、上司も排尿時は副交感神経が機能し、身体も心も弛緩し、幸せホルモンであるセロトニンで満たされており上機嫌なはず。

 そんな好環境な場面における会話術を、トイレを去るまでの5段階になぞらえて、「TOTO理論(Toilet of talk opportunity:会話の機会としてのトイレ)」として紹介いたします。

1)ポジションを確認:重い話はNG

 まず、みなさんに理解してほしいことは、トイレは上司にとっても、唯一息を抜ける安らぎの場であるということです。その邪魔をしてはいけません。

 業務の相談や意思決定を求めるなどの重い話や、トイレだけに“ケツ論”を求める話題をふることは、心地よい環境から緊張の環境に引きずり出されることを意味し、出るものも出なくさせてしまいます

 また、平均35秒間と言う短い時間であることも、深い話が出来ない理由のひとつです。まして、実際には、お互いに入室に時間のズレがありますので、35秒よりも短い時間になるはずです。同時に「位置について、尿意、ドン!」とスタートするわけではないのです。

 安らぐ時間の邪魔をせず緊張感を排除させつつ、心地よい刺激を与える程度で十分なのです。刺激とは、いうなれば、皆さんが、トイレという静寂な池に石をひとつ投げ入れ、その波紋を上司と共に見つめ合う場であると理解してください。

2)話題を溜める:定番を仕入れておく

考える人

 溜めるとは、尿のことだけでなく、普段から話題を溜めておくことを意味しています。繰り返しになりますが、心地よい場を維持するだけで十分なわけです。

 定番の「天気・気候、近所のランチの店の話題、健康に関する話題」を仕入れて事前に準備しておきましょう。普段から溜めていればいつ、だれと一緒になっても、慌てることはありません。

 くれぐれも、「ウケ狙いの笑い」「奇抜な話」「第三者の話題」「過剰な失敗談」はしないでください。短い時間ゆえ失敗した後のリカバリーができずに、しらけた雰囲気で別れることになります。濡れた床面が多いトイレでは「すべらない話」として笑いをとることは難しいのです。

3)立ち位置を確認:適切な距離感を保つ

トイレ

 レイアウトにもよりますが、上司との間に1つ便器を挟む位置を確保しましょう。適切な距離感を保つためです。

 圧迫感を感じさせない距離感であると同時に、せっかくマスクをしているにもかかわらず、「下の飛沫」を飛ばすことは、上司の怒りによる「膀胱(暴行)事件」を避けるためです。

 また、いきなり死角にある扉があき、話しながら誰かが近づいてくるのは、上司に恐怖を感じさせてしまいます。誰が入ってきたのかを上司が確認できてから、会話を始めましょう。上司の安心感が違います

4)的を狙おう:偶然を装う

 偶然の遭遇に頼っていては、いつ、上司と一緒になるか不明確で非効率です。そこで、狙った上司がトイレに立ったら、自ら追いかけて入室し、偶然を装って会話するという小芝居を打ちましょう

 その場合、前述の「溜める」話題の3テーマに留まらず、その上司の普段の仕事ぶりのエピソードも加えるのも効果的です。例えば「先日の○○のご指導でうまくいきました」「今日の会議でのご発言の○○について、とても興味深く聞きました」と言えば、「俺のことを普段から注目してくれている」と思われ、上司も悪い気がしないでしょう。

 さらに「GWの後半は、一刻も早く出社したい思いに駆られました」「今日の経済新聞で、○○課長の仰っていた競合先に関する記事がでていましたね」と言えば、仕事熱心で、勉強熱心でやる気のある部下としてアピールできます。

5)水に流そう:あくまでその場限りで

会話

 トイレでの会話は、非公式な内容です。その場限りとして口外することはしないようにしましょう。人間は、お互いに秘密を共有すると、急速に仲が深まるものです。逆に、上司から返事がなく、生返事しか帰ってこなくても、気にする必要はありません。それは悪意ではなく、皆さんだけに対する態度ではありません。

 怒らずに、シッコウ猶予にしてあげましょう。聞いた話、受けた態度、全て、その場限りとして水に流すのです。きっと心の中では気づかいの出来る部下として、みなさんを評価しているはずです。

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 いかがでしたでしょうか。安らぎの場である前提を理解し、話題を事前に溜めておき、距離感に配慮したうえで、特定のターゲットを見定め、会話をその場限りとして留める。この一連のルーチンを日々繰り返しましょう。

「気を使ってくれる部下」として、日々上司の脳裏に刷り込まれることになり、みなさんへの高評価、出世の近道になります。それは、周囲から目標とされる社員になることを意味しています。そう、便(ベン)チマークされるエリートとして。

TEXT/組織づくりLABO代表 川野智己>

【川野智己】

大正製薬、大手教育コンサル団体を経て、伊藤忠アカデミー教育Divマネジャー、大手人材紹介会社教育研修部長を歴任後、現在、組織づくりLABO代表として組織人材の教育研修に従事 Twitter:@TPFQ7EzbI0vprpB note:川野智己@転職定着マイスター WEBサイト:組織作りLABO ストアカ講座:「転職先で輝く為の人間関係力UP講座(マンツーマン編)」

(出典 news.nicovideo.jp)

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