ひろゆき×成毛眞「いまだにコンビニで現金を使う人は、自分は頭が悪いと表明しているのと同じだ」

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ひろゆき×成毛眞「いまだにコンビニで現金を使う人は、自分は頭が悪いと表明しているのと同じだ」

なぜ日本の経済成長率は先進国最低になってしまったのか。ひろゆきさんと成毛眞さんは「たとえばコンビニで小銭を使う人が多い。便利でおトクなデジタル決済を使わないのは、『自分は頭が悪くて、新しいことを覚える気がない』と表明しているようなもの。そんなレベルだからデジタル化が遅れてしまった」という――。2人の共著『考えて生きる 合理性と好奇心を併せもつ』(集英社)より一部をお届けする――。(第3回)

■リモートワークを推奨しない会社は潰れていく

ひろゆき僕は、日本でもっとリモートワークが普及すると思ってたんですけど、意外とそうでもない感じですね。

成毛眞どういうことですか?

【ひろ】例えば、コロナ禍で僕が住んでいるパリの地価は下がりましたが、パリから車で1時間くらいの都市の地価は上がったんですよ。日本だと「本厚木が住みたい街ランキングで1位になった」というニュースはありましたが、都心からガッツリ人が流出したという話は聞かないですよね。

【成毛】まあ、不動産価格が上がっているのは東京ですからね。

【ひろ】リモートワークができるのに都心に住むのはもったいないと思うんですよ。千葉県とか神奈川県に引っ越せば、同じ家賃で海沿いの広い家で楽しく暮らせたりもできるわけですから。

【成毛】僕の仕事場は熱海のマンションなんですけど、非常に快適です。新幹線なら約40分で品川に着きますから。

【ひろ】最近は「出社する」流れが復活しつつありますけど、そういう会社って費用対効果が悪いので、どんどん潰れていくと思うんです。「出社がマスト」だと都心のアクセスのいい場所にそこそこの広さのオフィスが必要ですよね。すると、どうしてもコストがかかる。

【成毛】リモートワークに移行している会社と比べると、コストは大きくかかりますよね。

【ひろ】なので、結果的にリモートワークを推奨しない会社は、淘汰されていくんじゃないかと思うんです。

【成毛】まあ、日本の「コロナ禍」はまだダラダラと続いていくでしょうしね。

【ひろ】あ、そうっすか? フランスは、日常が戻りつつありますけどね。

■日本人はダラダラと自粛を続けていく

【成毛】日本人の習性として、集団免疫を獲得するまでは、ビビってダラダラと自粛を続けていくんじゃないかと思います。そう感じたのが第5波(2021年8月ピーク)のときです。第3波(21年1月ピーク)と第4波(21年5月ピーク)のときは、政府の言うことを聞かないで出歩く人も多かったのですが、都内の新規感染者数が5000人を超えたあたりから「これはヤバい」とみんなが思い始めた。そして、政府に言われなくても勝手に自粛するようになりましたよね。でも、東京都の人口は約1400万人ですからね。

【ひろ】ですよね。日本に第5波が来た頃、フランス人は普通に外出していました。新規感染者も死者も増えてましたけど、フランスは「感染しても知ったこっちゃない」という感じで「経済を戻す派」でした。日本は「感染が怖い」から、「ひたすら経済を止める派」でしたよね。

【成毛】ですから、コロナ前のような状況に戻るのは何年も先でしょうね。そうなるとコロナが収束したからといって、「オフィスに出社する流れに戻る」なんていう心配は不要だと思います。

【ひろ】ですね……。

■感染を恐れるのにITサービスは使わない日本人

【成毛】不思議なのが、通常の肺炎で毎年約10万人が死んでいるのに、そういう数字を気にせず、とにかくコロナで死者が出たら大騒ぎをするという風潮です。ちなみに誤嚥性肺炎での死者は、これに加えて約4万人。

【ひろ】僕が不思議に思うのは「コロナに感染するのが怖いのなら、もっとIT系のサービスを駆使すればいいのに」ってことなんですよ。スーパーに買い物に行くのがいやならウーバーイーツを頼むとか、雑菌だらけの現金を使わないでキャッシュレスにするとか。しかも、専門的な知識は不要で、ちょっと学べばできることですよね。それなのに使おうとしない。

【成毛】それは高齢者だけの問題じゃないですよね。僕はコンビニのレジを待っているときに、しょっちゅうイラつくんです。会計が286円だったら、50円玉お釣りがほしいからといって、一生懸命、財布の中にある小銭を数えて336円を払う人がいるでしょ。あれ、若い世代でもいますからね。

【ひろ】僕、今年現金を使ったのって数回程度ですよ。むしろ現金を使うほうが珍しい。なので、日本の小銭ジャラジャラ文化を見ると、日本はまだまだ昭和だなと。

【成毛】現金派はクレジットカードに対する不信感がありますよね。「お金を使っている実感がない」とか「ついつい使いすぎてしまうから」とか言いますが、「使いすぎる」ってどういうことなのか。中学生でもお小遣いの自己管理はできるでしょう。

【ひろ】アプリなら使用明細が見られますし、クレジットカードは不正利用されても補償される。「そもそもお金がない」と嘆く人もいますが、それならよけいにクレジットカードを使うべきなんです。年会費無料でも、ポイント還元率が1%のカードとかがたくさんあって、それを使えば実質1%引きで買えるわけですから。

【成毛】僕なんてクレカにひもづけたモバイルSuicaを使ってポイントの二重取りをしているくらいですよ(笑)。でも、その横で小銭を出している人がいる。もはやデジタル化以前の問題。

■デジタルを活用しないのは「私は頭が悪い」と言っているようなもの

【ひろ】目の前に便利なものがあっても、それを使おうとしない。日本は先進国の中でも一番低い経済成長率です。それはIT系の活用が遅れていることがひとつの原因といわれているじゃないですか。

【成毛】そうですね。そんなレベルなので、デジタルを活用するのが、遅れに遅れるのは当然。「カードだと、お金をつい使ってしまう」なんていうのは、すべてのデジタル化を阻む原因ですよ。だって、便利になってほしいとか生産性を上げてほしいという要求がないわけですからね。

【ひろ】それって「自分は頭が悪くて、新しいことを覚える気がない」と表明しているようなもので、本来、恥ずかしいと思うべきことじゃないですか。

【成毛】いや、恥ずかしいと思ってないかもしれませんよ。むしろ、昭和の頃のほうがそういったコンプレックスを持っていた。

【ひろ】昔は「自分はわからないから、頭のいい人に任せよう」という感覚がありましたよね。でも、今って中途半端に頭の悪い人が、「俺がわからないのはおまえのせいだ。わかるように説明しろ」っていう流れがある。

【成毛】それはSNSの影響が大きいかもしれませんね。論理的にものが考えられない人にも発言権が与えられたでしょ。しかも、日本語は読めても、文章の意味をきちんと理解できない人も多い。

【ひろ】昔は、ある程度の知性がないと、メディアで発言する機会もなかったわけですからね。

【成毛】そうやってSNSで発言し、自分はまともだと思って、自分の価値観生きる。まあ、それはアメリカ人も同じですけどね。

【ひろ】それでもアメリカが成長しているのは、とんでもないバカがいる一方で、一部の天才がすごいシステムを作って帳尻を合わせているからですよね。でも、日本はどっちもいないから悲惨な状況だったりします。

【成毛】だから、日本のデジタル化が進むのはもう少し時間がかかりますね。

【ひろ】ですね(笑)

■中国で電子マネーが一気に普及した理由

【ひろ】前回は「日本でデジタル化が進まない理由」でした。成毛さんによると、その要因のひとつは、コンビニでジャラジャラと小銭を使って支払う客だと……。

【成毛】そうですね。電子マネーを使えば利便性がいいだけでなく、ポイント還元もついてくる。使わない理由はないはずなのに、それでも現金を使い続ける。そういう思考は「便利になったほうがいい」という欲求がないわけで、デジタル化を阻む原因になります。まあ、だからといって、すべてが悲観的だとは思っていませんけどね。

【ひろ】というと?

【成毛】もちろん、コンビニのレジで待たされるのは腹が立ちますよ(笑)。ただ、「リープフロッグ(一足跳び)」があると思っているんです。中国で電子マネーが急激に進んだのは、紙幣の製造技術が低く、かつ治安が日本ほど良くないからでした。つまり、偽札が横行したり、高額紙幣を持ち歩くのが怖いという理由があった。そのため、スマホを使った決済が急速に広がった。

【ひろ】電子マネーにしないと怖くてしょうがない」という側面があったわけですね。

【成毛】でも、日本では偽札をつかまされることはまずないし、数万円持ち歩いていても安全。電子マネーに進化する大きなきっかけがなかった。ただ、次のタイミングで、中国のような現象が日本でも起きるんじゃないかと。現金から電子マネーに急速に変わったような僕らの想像を超えることが起こるんじゃないかと思っています。

■固定電話のないアフリカではスマホとモバイル決済が一気に普及した

【ひろ】歴史的に見ても日本は「浮世絵」など世界でも珍しい文化をつくっちゃいましたからね。

【成毛】すると、今の世代は負けていても、次の世代で勝てるかもしれない。

【ひろ】ただ、ある程度隔絶されていないと成立しないかもですね。浮世絵って、鎖国していて外国の文化がほとんど入ってこない状況だったから独自の進化を遂げた。今は、なまじ西洋の文化が見えちゃう時代なので。

【成毛】さすが、ひろゆきさん。一発で論破されちゃった(笑)。確かに「隔絶していないと成立しない」というのはいえていますね。

【ひろ】例えば、アフリカなんかでは固定電話の回線が整っていないし、パソコン先進国みたいに普及していない。でも、安いスマホは多くの人が持っているってことで、モバイル決済やモバイルバンキングが世界に先駆けて普及しましたよね。これもリープフロッグのひとつですが、日本はこうしたインフラもある程度、すでに整っているんですよね。

【成毛】そうですね。僕は、まだガラケーを使っていた時代にベトナムを旅行したら、農家の人が普通に携帯電話を持っていて驚いたんですよ。でも、よく考えたら固定電話の回線が引かれていないから、そうなるのは当然だった。

■「新しいものを寄ってたかって潰す」日本の国民性

【ひろ】んで、日本はリープフロッグを起こしそうな先進的な技術も政治や行政が潰しちゃうんですよね。例えば、日本のラジコンヘリコプター業界って世界の先端を行っていた。その流れがあったので、ドローン技術でも世界を席巻することができたと思うんですよ。でも、ドローンが出てくると危険だとかいろいろな理由をつけて法律で規制してしまった。結果的に日本のメーカーは壊滅的になりました。

【成毛】確かに、規制の問題はありますね。

【ひろ】日本は「まったく新しいもの」が出てきたときに「寄ってたかって潰す」国民性がありますよね。先進国セグウェイが公道を走れない国って日本だけじゃないですか? なので、パーソナルモビリティが普及しているヨーロッパと比べるとビックリします。日本では、昔と移動の方法が基本的に変わってないんですよ。車と自転車と徒歩。「昭和のままだな~」と帰国するたびに思います。ということで、技術はあっても法律で規制するので、リープフロッグも起きづらいかなと。

【成毛】そういう日本の特徴を示しているのが、ロケットの打ち上げで失敗したときですよ。あれは“実験”なんだから、失敗してナンボ。たくさん失敗して「どこが失敗するのか」をわかったほうが得なんです。10回失敗して課題を全部潰せたら、11回目からはバンバン飛ぶわけだから。

【ひろ】「失敗を多くした人は、同じ失敗をしないから安全」というふうに考えられるんですけどね。まあ、日本にはない感覚ですけど。

【成毛】ないですね。

【ひろ】絶対に失敗しないコツは「何もしないこと」なので、結局、失敗もしていないけど、何もしていない人がトップになる。すると何も進まない。

【成毛】そこに病根があるとしたら、この日本は10年や20年では変わらないでしょうね。日本はこのまま経済的にも昔のような勢いは取り戻せないと思っています。

■日本は経済大国よりもスペインを目指すべき

【ひろ】経済的にダメになった国は、物価が安くなりますよね。この前、スイスバーガーキングに行ったらふたりで5000円もしました。なので、日本に帰ると物価がめっちゃ安いと感じるんですよ。しかも、治安もいいしサービスも行き届いている。すると外国人から人気の国になる。コロナが収束したら、インバウンド需要は激増して観光業界や飲食業界はうまくいくんじゃないかと思います。

【成毛】おっしゃるとおり。通貨の実力を測る総合的な指標である「実質実効為替レート」で見ると、日本円は適正レートの7割くらいだと思うんです。これは輸出産業にとってはお得な状況ですけど、考えてみれば日本にまともな輸出産業なんてなくなってしまいましたよね。みんな海外で生産している。一方で観光業界や飲食業界はポテンシャルが高くて、今度はそっちが主力産業になっていくはず。すると、このまま円安でいいと(笑)

【ひろ】そうなっちゃいますよね。

【成毛】こういう話をすると「円安になると、外国製品を輸入するときに不利になる」と言われますが、実は日本が主に輸入しているモノってそもそも安くなってる。今、原油価格は上昇してますが、東南アジアインドなどからの輸入品価格はそもそも安い。中国も投げ売りを始めるかもしれない。だから、円安になってもあんまり困っていないんです。「日本が安くなった」と騒がれていますが、僕はこのまま推移すると思うな。

【ひろ】昔のように家電メーカー自動車業界が世界を席巻して、ガンガン輸出して稼ぎまくる時代を目指さなければ、日本は意外といいポジションになれると思うんですよ。

【成毛】そう。だから、僕は「日本はスペインを目指せ!」と思っています。

【ひろ】スペインは経済的には微妙ですけど、治安がよくて長寿の国で、ご飯もおいしいし、ダラダラ過ごしていても国民は幸せそうですよね。

【成毛】観光地もたくさんあって食べ物もおいしいので、日本も同じポジションが狙えます。

【ひろ】昔の栄光にすがって経済大国を目指すよりは、スペインのようなポジショニングのほうが現実的で、実はお得なのかもしれませんね。

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成毛 眞(なるけ・まこと
HONZ代表
1955年北海道生まれ。中央大学商学部卒業。自動車部品メーカーアスキーなどを経て、1986年、日本マイクロソフト入社。1991年、同社代表取締役社長就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社インスパイア設立。2010年、書評サイト「HONZ」を開設、代表を務める。

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ひろゆきひろゆき
2ちゃんねる創設者
東京都北区赤羽出身。1999年インターネットの匿名掲示板「2 ちゃんねる」を開設。2015年に英語圏最大の匿名掲示板4chan」の管理人に。YouTubeチャンネルの登録者数は150万人。著書に『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)など。

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撮影=村上庄吾

(出典 news.nicovideo.jp)

西村博之 (ひろゆきからのリダイレクト)
移住。同年、英語圏最大の匿名画像掲示板「4chan」を買収し管理人に就任する。 ひろゆきの来歴は、2ちゃんねるの歴史であり、4chanや8chanなどCHANカルチャーの歴史でもある。以下でそれを追っていく。 ひろゆきが1999年に開設した巨大匿名掲示板群「2ちゃんねる」を「2ch.net」(現・5ちゃんねる「5ch
266キロバイト (40,703 語) – 2022年7月6日 (水) 15:12

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