私たちはなぜ肉を食べないといけないと思っているのか?

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私たちはなぜ肉を食べないといけないと思っているのか?

私たちはなぜ犬を愛し、豚を食べ、牛を身にまとうのか: カーニズムとは何か
『私たちはなぜ犬を愛し、豚を食べ、牛を身にまとうのか: カーニズムとは何か』(青土社)著者:メラニー・ジョイ

あなたは優雅な晩餐会に招待され、熱々のシチューをたっぷりと自分の皿に取り分け、柔らかい肉を堪能しながら主催者に調理法を尋ねました。

「喜んで教えて差し上げるわ。まず2キロのゴールデンレトリーバーの肉によく下味をつけて、それから…」

さて、あなたならここからどうしますか?

私達が当然のこととして受け入れているカーニズム(肉食主義)は、家畜動物に生まれてから死ぬまで、想像を絶する苦痛をもたらし、世界中のあらゆる場所で不正行為の原因ともなっている。また、この不可視化された信念体系は、私たちの考えを歪め、感覚を麻痺させている。カーニズムの成り立ちを、社会心理学的視点から分析し、畜産業に従事する人や一般人へのインタビューを交えた分析をもとにその仕組みを解き明かす、気鋭による画期の書。(序文 ユヴァル・ノア・ハラリ氏)

ここでは訳者あとがきをご紹介いたします。

 私たちはなぜ肉を食べないといけないと思っているのか?

それは私がまだ小学生の頃、遠足の帰り道で貸切バスに乗っている時でした。ふと窓の外に目をやると、横には大型トラックが走っていて、荷台の隙間から牛の大きな瞳が私を見ていました。動物好きの私が喜びで「あ、牛だ!」と声を上げたら、クラスメイト男の子が「そいつらはこれから殺されるんだ!」と返しました。その瞬間、私はなんだかとても悲しくなり、お肉を食べるのが嫌になりました。しかし、母の手料理は絶品で、暫くしたら何事もなかったかのようにまたお肉を食べ始めたのです。それから本格的にベジタリアンになるまで少し時間はかかりましたが、あの時の牛の瞳が私の人生に大きな影響を与えたのは間違いありません。

大学卒業後、私はアニマルケアの勉強をしに英国に留学しました。そこで私はFactory Farming(工場式農場)の現実を突きつけられたのです。人間の消費や娯楽の為に利用される動物の悲惨な運命を映し出した、覆面調査員によるその記録はあまりにも衝撃的で、人間はこんなにも利己的で残忍になれるものかと驚愕し、またこれまで無知であった自分自身に激しい動揺を覚えました。確かにお肉は美味しい。でもそれ以来、舌が喜んでも心が泣くのです。二四時間三六五日世界中のあらゆる場所で人間の胃を満たすため、どれだけ多くの動物が血を流すのか。スーパーで売れ残り、或いは食べ残りとして廃棄される肉のために、どれだけの命が無駄に生産され失われるのか。人間の金儲けと利便性のためだけに、どれだけの苦痛を動物は味わわなければならないのか。人間の都合で多大なる犠牲を強いられる「家畜」と分類される生き物を思う時、私はどうしようもなく胸がかきむしられます。英国で過ごした一年の間に私は実践できる限り「脱動物搾取」の道を歩もうと決めたのでした。

それから一〇年ほど経った頃、とあるヨーロッパの書店で「Why We Love Dogs, Eat Pigs, and Wear Cows」に巡り合いました。妙に好奇心がそそられるタイトルでした。著者のメラニー・ジョイ博士は社会心理学者で、人間の肉食という行為と社会全体に深く根差し、不可視化された体制が複雑に絡み合う関連性を心理学的視点からアプローチしました。畜産の真実に関する書物は数多くありますが、ジョイ博士の本書は他の類書と比べて、新鮮で説得力があると私は感じました。

私が「Why We Love Dogs, Eat Pigs, and Wear Cows」を日本語に訳したのは、一人でも多くの人に家畜動物を取り巻く現実を知って欲しい、それを当たり前だと思わないで欲しい、そしてそこから目を逸らさないで欲しい、その一心です。お肉を食べる前にほんの少しで良いから、動物の苦しみを減らすために人間に何が出来るのか、考えていただけたら幸いです。

【書誌情報】

私たちはなぜ犬を愛し、豚を食べ、牛を身にまとうのか: カーニズムとは何か

著者:メラニー・ジョイ
翻訳:玉木 麻子
出版社:青土社
装丁:単行本(320ページ)
発売日:2022-05-26
ISBN-10:4791774760
ISBN-13:978-4791774760

私たちはなぜ犬を愛し、豚を食べ、牛を身にまとうのか: カーニズムとは何か / メラニー・ジョイ

私たちはなぜ肉を食べないといけないと思っているのか?

(出典 news.nicovideo.jp)

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