JRAタイトルホルダー、天皇賞・春(G1)に黄色信号!? 日経賞(G2)格下相手に辛勝……浮き彫りとなった「大ブレイク」横山武史と「便乗」横山和生の差

JRAタイトルホルダー、天皇賞・春(G1)に黄色信号!? 日経賞(G2)格下相手に辛勝……浮き彫りとなった「大ブレイク」横山武史と「便乗」横山和生の差

JRAタイトルホルダー、天皇賞・春(G1)に黄色信号!? 日経賞(G2)格下相手に辛勝……浮き彫りとなった「大ブレイク」横山武史と「便乗」横山和生の差

JRAタイトルホルダー、天皇賞・春(G1)に黄色信号!? 日経賞(G2)格下相手に辛勝……浮き彫りとなった「大ブレイク」横山武史と「便乗」横山和生の差

JRAタイトルホルダー、天皇賞・春(G1)に黄色信号!? 日経賞(G2)格下相手に辛勝……浮き彫りとなった「大ブレイク」横山武史と「便乗」横山和生の差の画像1
タイトルホルダー

 26日、中山競馬場で行われた日経賞(G2)は、1番人気のタイトルホルダー(牡4歳、美浦・栗田徹厩舎)が勝利。大目標の天皇賞・春(G1)へ、「東の横綱」が大きな弾みをつけた。

「ホッとしています」

 G1馬を勝利へ導いた横山和生騎手は、昨年の有馬記念(G1)で主戦だった弟の横山武史騎手がエフフォーリアに騎乗したことでチャンスが巡ってきた。当初は代打騎乗に思われたが、有馬記念後もコンビ継続。コンビ結成2戦目で結果を残して、まずはホッと一息といったところだろう。

 しかし、レースは単勝1.6倍という大本命馬の内容ではなかったかもしれない。

 15頭立てで行われた芝2500mのレース。逃げの競馬で昨年の菊花賞(G1)を5馬身差で圧勝したタイトルホルダーは、そのまま敢然とハナを主張。稍重とはいえ1000m通過63.6秒のスローと、完全にこの馬ペースに持ち込んだ。

 だが、勝負どころでは、菊花賞のように後続を引き離すことができない苦しい展開。ボッケリーニやヒートオンビートに激しく食い下がられ、最後はクビ+クビ差の大激戦だった。

 この結果には横山和騎手も「底力というか、タイトルホルダーの力に助けられました」と、G1馬の底力に感謝。とはいえ、ボッケリーニもヒートオンビートも重賞でこそ善戦するが、G1実績は皆無の格下だ。

 勝つには勝ったが、天皇賞・春へ向け小さくはない不安が残る内容と言わざるを得ないだろう。

「思った以上に苦戦しましたね。馬体重こそ有馬記念と増減なしだったとはいえ、中間でアクシデントがありましたし、あくまで『目標は次』という仕上がり。それでも、これまで戦ってきたメンバーのレベルを鑑みれば、今回は楽に勝ってもおかしくなかったと思います。

最後は凄い勝負根性でしたし、さすがG1馬といった走りでした。しかし、その一方で改めて『スローペースの切れ味勝負になると苦しい』という側面が顔を見せた気がします。最後もタイトルホルダー自身は止まっていないと思うのですが、ペースが遅かったのでライバルも止まらずに思わぬ苦戦を強いられた印象です。横山和騎手は、もっと積極的に乗ってもよかったかもしれませんね」(競馬記者)

 記者がそう指摘するのは、元主戦の横山武騎手の騎乗と、横山和騎手の騎乗に「明らかな差」があったからだ。下記は、どちらもタイトルホルダーが逃げ切った昨年の菊花賞と、今回の日経賞の後半1400mのラップ比較である。

菊花賞 横山武史騎手
13.1 – 12.6 – 12.4 – 11.7 – 11.5 – 11.4 – 12.2

日経賞 横山和生騎手
13.4 – 12.8 – 12.3 – 12.0 – 11.7 – 11.2 – 11.8

 上記は距離もコースも異なれば、菊花賞は良馬場で、日経賞は稍重と馬場コンディションも異なる。従って、上下のタイムを比較するのではなく、各ラップの「前後のタイム差」に着目したい。

 特に注目したいのは、残り1000mからの加速具合だ。

 横山和騎手の日経賞が12.3→12.0の0.3秒であることに対して、横山武騎手の菊花賞では12.4→11.7と0.7秒も加速している。つまり、横山武騎手の方が早めにスパートしていることになり、それは同時に後続へのマージンを早めに築いていることになる。

 その結果、日経賞のラスト1ハロンは11.8秒(前ハロン比マイナス0.6秒)だったが、早めにスパートした菊花賞ではマイナス8秒の12.2秒まで失速している。

「面白い比較だと思います。確かに、菊花賞の5馬身圧勝劇は、横山武騎手の積極果敢なロングスパートがハマった格好。結果的に、それがタイトルホルダーの長所を最も引き出す作戦であったことも間違いないかと。

ただ、菊花賞は4番人気とあくまで挑戦者の立場。しかし、この日の日経賞は単勝1.6倍の大本命と立場が異なります。横山和騎手がある程度慎重になってしまうのも仕方ないと思いますし、要は次の天皇賞・春で、横山和騎手に横山武騎手が菊花賞で見せたような積極的な競馬ができるかでしょうね」(別の記者)

「次が本番なので。ここで満足することなく、少しでも良い絆をつないで、次に向かえればと思います」

 レース後、そう天皇賞・春を見据えた横山和騎手。今回の日経賞ではボッケリーニやヒートオンビートなど食い下がった馬は格下だったが、本番では、それが阪神大賞典(G2)を連覇した「西の横綱」ディープボンドになってもおかしくはない。

 大ブレイクした横山武騎手に譲ってもらう形で手にしたG1初制覇の大チャンス。最後に「弟が乗っていれば……」と言われないためにも、今一度タイトルホルダーの本来の走りを取り戻したい。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

【日時】2022年03月26日 20:00
【提供】GJ

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