「これが合法ならハッパとか規制する意味なくね?」“合法大麻”HHCがあと数日で違法薬物に 滑り込み需要で都内に100人超の列《警察官も出動》

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「これが合法ならハッパとか規制する意味なくね?」“合法大麻”HHCがあと数日で違法薬物に 滑り込み需要で都内に100人超の列《警察官も出動》

おまわりさんも吸います?」

 職務質問をしようと声をかけた2人の警察官に販売者の男性がそう切り返すと、周りにいた100人超の聴衆からどっと笑い声があがった。

 諦めずに警察官が話を聞こうと、販売者の1人を歩道に呼び出すが、「通行の邪魔になってるよ!」とヤジがあがり、すごすごとその場を立ち去ることに。悔しそうに、離れた位置から様子を見守るしかないのだった。

◆ ◆ ◆

大麻同様に“ハイ”になれる「HHC」

 3月8日、東京・西早稲田駅前の歩道には、若者男女の長蛇の列ができていた。

 彼らが買い求めたのは、「HHC」と呼ばれる“合法大麻”だ。HHCは「ヘキサヒドロカンナビノール」という大麻由来成分の略称。大麻に含まれる微量の成分の一種を加工したもので、違法である大麻由来成分「THC」と似た、向精神作用などを持つとされる。大麻同様に“ハイ”になれるということだが、現在の日本では違法性はない。

 昨今では「CBD」といったリラックス効果を強調した大麻由来成分が流行しているが、それとは似て非なる性質だ。薬局などでもCBD入りのシャンプーや、美容オイルはたまたCBD入りのコーヒーを提供するカフェまで誕生しているが、これらには“ハイ”な効果はないとされ、商品化が急速に進んでいる。

 HHCの吸い方は、電子タバコブースターにHHCが入ったリキッドを装着するだけ。東京を中心に年明け頃から、若者たちの間では密かなブームとなっていた。

 しかし、そんな“好況”が一転したのは3月7日。官報でHHCの規制が発表されたのだ。

 厚生労働省はHHCを危険ドラッグの1つとして「指定薬物」に指定。3月17日からは、「製造・輸入、販売、所持、使用」が禁止されることになった。

 規制発表の当日、大口の販売者が“放出セール”をツイッターで告知すると、それを求めて翌8日には大行列ができる事態に発展。冒頭でふれた長蛇の列を作っていたのは、ラッパー風のドレッドヘアーの若者から、これから仕事に行くというおとなしそうな会社員、列に並ぶ人々にインタビューするYouTuberまで、実にさまざま。なかには客に「もっと安く売りますよ!」と販売を持ち掛ける、別の業者の姿も見受けられた。

『これが合法ならハッパとか規制する意味なくね?』

 この日、HHCの商品は飛ぶように売れ、販売開始から2時間弱で完売した。購入者の男性が語る。

「HHCを吸い始めたのは今年1月からです。キキすぎて『これが合法ならハッパとか規制する意味なくね?』って思っていました。自分は自宅とかネットカフェで吸っていましたが、形は電子タバコと一緒なので、外で吸ってもわからないと思います。

 ちなみに今回販売しているラッパーのRYKEYさんのHHCは、質が良いと大評判。常に品切れ状態が続き、ネットでは2倍の価格で転売されていた超人気商品。今回初めて吸えて嬉しいです。私は友達用に7本、あとは今週末に友達と旅行に行くので3本、計10本買いました。RYKEYさんのサインももらえたし、大満足です」

 RYKEY氏のHHCリキッドは1本5000円。通常よりかなり割り引かれ、なかには数十本入った箱ごと購入する爆買い客もいたのだとか。モノにもよるというが、HHCは大体1本8000~2万円弱ぐらいの値段設定で、「毎日ゆっくり吸えば1本で1カ月ぐらい持ち、煙草よりコスパが良い」(同前)という。

世界的には大麻の合法化も進むが…

 こうした“滑り込みセール”をしているのは、RYKEY氏だけではない。通販サイトで検索すると、《HHC規制入りました ^_^ 1本5600円》という商品名の後、《売り切れました》の文字が続く。SNSでは《規制前のHHC祭り》《涙のお別れ》といった言葉が飛び交っている。

 HHCの法規制について、これまで取沙汰されることはほとんどなかった。そのため商機を見出し、HHCを吸うことができる専門店もが開店し始めていた。今回の法規制は、そんな矢先のことだったようだ。業界関係者が話す。

「HHCは人気で、常に品薄状態が続いていました。製品は主に北米や欧州などから輸入されてきます。HHCは1月末頃から段々と存在が知られてきて、都内にも『3000円吸い放題』とかのカフェオープンし、ここでもHHCを購入することができました。2月頃からは都内以外にも、同様の店があるとチラホラ聞くようになりましたね。

 利用者が店にDMを送って予約をとる、完全会員制でした。もちろんホームページもなければ、店名もない。20種類ぐらい吸い比べができて、キャバ嬢風の女性からスーツ姿の1人客まで大賑わいでした。私の知っている店は結局、流行り過ぎて90分制になったくらいですよ」

 しかしこの流行には危機感も持っていたという。

「効きが良く、このまま流行したら、キマった状態で運転する奴とかも現れ、いつかデカい事件事故が起きるだろうと思っていました。規制は時間の問題でしたが、それにしても想像以上の早さです。

 合法のモノは他にもあるので、また政府との“イタチごっこ”が続くかもしれませんが、今後も規制は早いでしょう。状況を注視していきたいと思います」

 これまでにも「危険ドラッグ」など、薬物は形を変え、そのたびに規制されてきた。世界的には大麻の合法化も進むなか、日本の薬物規制は今後どのような道を歩んでいくのだろうか。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

離れて販売の様子を見守る警察官

(出典 news.nicovideo.jp)

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