ホンダのガソリン車が20年後に消える?

ホンダのガソリン車が20年後に消える?

ホンダのガソリン車が20年後に消える?

NSXが新たにタイプSを設定した。

空力特性から動力性能まで、幅広く進化させた仕様だが、ベースのグレードは残念ながら、販売を終えている。

生産は2022年12月までだが、受注の枠はすべて埋まった。

そしてこれから購入できるNSXは、新しいタイプSのみだ。実質的にタイプSがNSXのファイナルモデルになる。

「現行NSXの発売は2016年だから、既に5年を経過した。フルモデルチェンジの周期に達しており、NSXの役割は終わったと考えている」と、考えているらしい。

はたしてそうだろうか?

大量に生産されるNボックスやフィットであれば、5~7年の周期でフルモデルチェンジするが、NSXのような価格の高い高性能スポーツカーは違う。

生産台数が少ないので、フルモデルチェンジの周期も長く、先代(初代)NSXは改良を受けながら15年にわたり生産された。

日産のGT-Rも2007年の登場だから、約14年を経過する。

つまりNSXが2016年に発売されて2022年に生産を終了するのは、価格の高い高性能スポーツカーとしては短命。

現時点で廃止する背景には、他の理由もあるのでは?

「NSXを6年程度しか生産しない背景には、生産体制の課題もある」

「北米のオハイオ工場を維持するうえで課題が生じた。また将来的に北米で実施される排出ガス規制も考慮して、生産を終えることになった」

との事だが、NSXが終了する理由としては疑問に思える。

そもそもNSXは、高性能スポーツカーながらもハイブリッドを搭載する。

WLTCモード燃費は「10.6km/L」だから、GT-Rの「7.8km/L」などに比べれば大幅に良い。

他の高性能スポーツカーに比べると、将来的な環境対応にも適しているのではないだろうか?

仮に終了するなら、もっと直近の「燃費規制や騒音規制」があるかも知れない。

しかしながら、「将来の北米における排出ガス規制は関係しているが、直近の法規対応など、差し迫った理由はない」という。

そこで、「S660」登場だが。

2022年3月まで生産するが、生産規模が小さいため、販売は2021年3月に終了した。

その理由としてホンダは、衝突被害軽減ブレーキの非装着(S660のタイプは低速用のみ)、タイヤを含む騒音規制への対応などを挙げたが、いずれも直近の課題ではない。

衝突被害軽減ブレーキは、新型の国産乗用車は2021年11月以降には装着せねばならないが、継続生産車は2025年12月になる。

しかし、S660と同様の境遇にあるコペンについてダイハツの販売店側は、「コペンは衝突被害軽減ブレーキが非装着だが、今のところ従来どおり販売している。改良する予定はないが、生産を終える話も聞いていない」という。

「現行NSXの役割は終わった」というのが生産終了の公式な理由だが、その背景にはNSXの売れ行きも関係している。

2016年の発売時点では「北米のオハイオ工場の生産規模は1年間に1500台で、この内の100台を国内市場に供給する」としていた。

仮に計画どおりに販売されていたら、2016年から2021年における現行NSXの生産累計(5年間)は7500台になっていたはずだ。このうちの500台が国内で販売されたことになる。

ところが実際の生産累計は、2021年の時点で2558台にとどまる。日本国内の販売台数は464台だ。

海外を含めた現行型の生産累計は2558台だから、販売計画の7500台と比べた時の達成率は34%と低い。

しかし日本は販売計画が500台で、実際の登録台数は464台だから、国内の販売達成率は93%と高い。

つまり現行NSXは、海外ではメーカーの予想に反して売れ行きが伸びず、日本では逆に堅調に売られたことになる。

この計画台数に対する海外と日本の達成率の格差は、どのような理由に基づくのかと言うと、

「海外で売れ行きが低迷した背景には、北米市場の販売不振がある。NSXは北米ではアキュラブランドで販売されるが、このブランド力も影響を与えた。北米では、長い歴史を持つ世界の有力なスポーツカーブランドが豊富に売られ、アキュラは入り込みにくかった」

「1年間に計画どおりの1500台を製造する能力はあったのか?」と尋ねると「そこは問題なかった」という。

つまり北米では他の高性能スポーツカーに負けて売れ行きを低迷させ、日本では共感を得てほぼ計画どおりだったことになる。

この販売低迷も、NSXを廃止する重要な理由だろう。

前述の売れ方を見る限り、「1年間に1500台を生産して、日本ではこの内の100台を売る」という販売計画が誤っていたのではないか?

現行NSXの発売以降、国内販売店のNSXパフォーマンスディーラーでは、「NSXはいつでも買えるクルマではなく、納期も不明瞭」と言い続けてきたからだ。

NSXの購入には多額の予算が必要だから「納期が不明瞭」では購入しにくい。

そのためにNSXの情報は、メーカーのホームページには掲載されていたが、販売会社のホームページからは落とされていた。

販売店に尋ねると「NSXを掲載すると、お客さまに(いつでも買えるクルマのような)誤解を与えてしまう心配があるから」と返答された。

国内のNSXをこのように消極的に扱わず、国内計画台数をさらに増やしていたら、購入も容易になって売れ行きはもっと底上げされたのではないか。

「NSXの生産台数が1年間に1500台で、日本の販売台数はその内の100台という割当ては、何を根拠に算出したのか」との返答された。

「日本国内では、新車価格が2000万円を超える乗用車は、1年間に400~500台が販売されている。そこでNSXは、国内計画台数を100台とした」

ここにも誤算があった。初代NSXの生産累計は、海外も含めると1万8000台に達している。日本では当時のユーザーが、あらためて現行型の購入を希望する場合がある。

また先代NSXの生産終了から16年を経過するから、先代型に憧れた人達が今は立派な大人に成長して、現行型を購入することもある。

NSXは高価格車だが、日本にはNSXのファン、ホンダのファンも多い。

NSXはポルシェやフェラーリ以上に特別な存在だ。

そして日本と、北米を始めとする海外では、NSXの受け止め方がまったく違う。

その結果、現行NSXの販売計画では、日本の販売比率は7%だったが、実際には18%に達した。

国内の計画台数を増やし、日本のユーザーが購入しやすくすべきだった。

と、言う事は、NSXは売れることに目的があるわけではなく、NSXがホンダのラインナップにあることが大切だったのではないかと思う。残念だが。。。

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