謎の漫画家の正体は?桜玉吉『漫玉日記』

謎の漫画家の正体は?桜玉吉『漫玉日記』

謎の漫画家の正体は?桜玉吉『漫玉日記』

機能不全家族(夏目ユキ) 漫画家が身辺の日常を描いた作品。 セキララシリーズ(けらえいこ) しあわせのかたち(桜玉吉) 防衛漫玉日記(桜玉吉) 幽玄漫玉日記(桜玉吉) 御緩漫玉日記(桜玉吉) 漫玉日記 深夜便(桜玉吉) まあじゃんほうろうき(西原理恵子) うちの妻ってどうでしょう?(福満しげゆき) 監督不行届(安野モヨコ)
10キロバイト (1,327 語) – 2021年10月24日 (日) 01:53
◆謎のお面漫画家、桜玉吉。

◇初期はファミコンゲームのパロディ漫画で人気を博し、自身の近況にギャグを織り交ぜながらも、シビアな現実を描く「漫玉日記」シリーズなどで寡作ながらも活躍しています。

◇日記漫画を描いたら日本一であろう桜玉吉の魅力。

◆黄色いお面の漫画家、桜玉吉とは?

◇桜玉吉は1961年生まれ、東京都出身の漫画家です。

◇多摩美術大学在学中からイラストレーターとして活動していましたが、1986年から『ファミコン通信』(現在の『ファミ通』)で連載が始まった『しあわせのかたち』で漫画家としてデビューしました。

◇『しあわせのかたち』は当初、ゲーム雑誌掲載作らしくファミコンゲームのパロディ漫画でした。 

◇しかししばらくすると、漫画の導入部や末尾などに数コマ、ゲームとは関係がない漫画や玉吉自身の日常を描いた漫画が現れ始めたのです。 

◇日常を描いた部分には当然、桜玉吉本人が登場。しかし漫画の中の「玉吉」はいつも黄色いお面をつけた青年の姿で登場し、『ファミコン通信』誌上に写真で登場するときも、漫画を模した黄色いお面をつけていました。

◇どうやら本名と素顔は非公表とするのが方針のようです。

◇黄色いお面の「玉吉」が登場する「数コマ」は次第に増えていき、パロディの方が少なくなっていきます。

◇やがてパロディはなくなってしまいましたが、ゲーム雑誌にあってゲームを描かないにも関わらず『しあわせのかたち』は読者アンケートで上位に入るという快挙を成し遂げてしまいます。 

◇こうして桜のデビュー作『しあわせのかたち』は、ゲーム漫画から日記漫画へと変貌を遂げたのです。

◇連載8年間のうちの約半分は日記漫画として連載され、これがのちの「漫玉日記」シリーズの礎となりました。

◆4コマ漫画で広告を描かせたら、桜玉吉の右に出る者はいないかもしれません。

◇様々なジャンルの広告漫画を手掛けてきた桜が特によく描いたのはエンターブレイン(旧アスキー)の雑誌の広告です。

◇『漫喫漫玉日記 四コマ便』は、2009年の終盤から2013年にかけてエンターブレイン発行の『月刊コミックビーム』の広告として描かれ、同じ出版社の『ファミ通』に掲載された4コマ漫画が収められています。

◆桜玉吉という人は随分以前から広告4コマ漫画を描いています。

◇旧くは高須クリニックの広告なども描いていますが、その頃から描かれているどの広告4コマにも共通点があります。

◇それは、広告する「商品」についてはまったく描かれないということ。

◇『漫喫漫玉日記 四コマ便』も、そんな広告4コマ漫画を収録した単行本となっています。

◇ゲーム雑誌『ファミ通』に不定期連載されている月刊漫画誌『コミックビーム』の広告漫画「読もう!コミックビーム」掲載分に未掲載原稿をプラスしたものが本書なのです。

◆最初の数ページを読んだだけでわかる通り、掲載されている4コマ漫画は「読もう!コミックビーム」と題されていながら1本たりとも『コミックビーム』については描かれていません。

◇それで広告として機能しているのかというと、そこは巧妙につくられています。4コマ目の下の部分には大きなギザギザの吹き出しがついていて、4コマ漫画の内容を踏まえたコメントとそれに託(かこ)つけた「読もう!コミックビーム」という定型の文言が入っているのです。

◇「かろうじて広告」といった体でしょうか。実際には5コマあると考えた方がいいのかもしれません。

◆4コマ漫画の内容は、桜が日々の生活から拾い出した小さな出来事をネタとしたものです。

◇つまり、4コマ漫画というかたちを取りながらもやはり「日記漫画」なのです。

◇そのネタは「雨の日にすべって転んだところ通りすがりの女性に大丈夫かと問われたが、50年も生きていながら碌(ろく)なことを答えられなかった」とか「飲食店のカウンター席にあるやたら背の高い椅子にすわって前方に椅子を寄せようとしたら腰を痛めてしまって、そのまま2週間が過ぎた」とか、私的で些細なことばかり。

◇このような些末なことをきちんと起承転結で整えて、お終いの吹き出し部分に入れたコメントで落ちをつけるという手法は、桜以外の人の作品には見られないもので、匠の技と呼んでいいでしょう。

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