【芸能】《写真あり》「一番安心したのは、役者の方はシャイな方も多いということ」実写ドラマ出演に悩む三石琴乃を救った・・
「ここは芸能界だよ。決して甘くないよ」セーラームーン声優・三石琴乃が明かした声優を続けることの「苦しみと喜び」 から続く
『美少女戦士セーラームーン』の月野うさぎ役で名を響かせ、一躍人気声優になった三石琴乃さん。最近では『リコカツ』をはじめTVドラマにもレギュラー出演し、2024年に放送される大河ドラマ『光る君へ』で時姫を演じることも発表され、活動に新たな展開を見せている。
インタビュー後編では三石さんに「声優と実写作品を演じる時の違い」や「作品への意気込み」について教えてもらった。(全2回の2回目/前編を読む)
◆◆◆
初めてだらけのドラマ撮影
──2021年には『リコカツ』で主人公の母親・水口美土里役で初のTVドラマレギュラー出演、『Get Ready!』ではエキセントリックな占い師役に挑戦しています。そして来年には大河ドラマ『光る君へ』が決まってますね。実写作品への出演は今後も増えていくのでしょうか。
三石琴乃(以下、三石) 狙って増やそうとしているわけではないんですよ。影の存在(声優)に憧れて、そこに美徳を感じてやってきました。ただ、矛盾していますが、舞台活動は好きなんです。養成所仲間と劇団活動したことが、今の私を形作っているので、そう考えると、実写も(活動範囲として)無くはないのかなと。プロデューサーの熱意も凄くて「じゃあやってみよう」と受けたのがきっかけでした。
──お芝居をする上で声優、舞台、ドラマの違いは?
三石 根っこの部分は同じで、表現方法が違う。舞台は客席に声が届かないといけないから、発声が大切。動きや表情もデフォルメして遠くの席にも伝わるようにします。
ドラマはフレームが命。カメラフレームの中で他の俳優とかぶらないような位置に立って、映り方にも気を使いますね。セリフも、声優仕事の時と同じしゃべり方だとトゥーマッチになるのが怖いから、距離感近めで腹式呼吸は使わないよう現場で臨んでいました。
『Get Ready!』の占い師・POC役では、リアルにやるより浮いた演技の方がいいだろうと動きも声も大袈裟にしていました。下山田譲役の藤原竜也さんと一緒のシーンで、藤原さんは声のボリュームを全然出してなかったのに、テレビで見るとすごくいいんですよ。これがドラマ撮影における役者の一つの技術なのかなって。
──役者の中には、現場が終わっても演じた役が抜けきらないこともあると聞きます。三石さんの場合はどうですか?
三石 アニメーションだと、一緒にいる時間が長いようで短いから、スタジオを出たら私の場合は切り替わります。でもドラマだと撮影の3カ月間みっちり役と一緒に生きているから、細胞に役が入り込んでる感覚がありましたね。『リコカツ』の撮影中は、プライベートで家にいる時に「美土里の顔になってるよ」と家族に言われた時もありました。
──2019年に『科捜研の女』のドラマ初出演も話題になりました。
三石 あの時は撮影のため1人で京都の現場に向かいました。だから、なんだか心細くてですね(笑)。ドラマの撮影現場の常識がわからなかったから「どこにいたら邪魔にならないか」「待機中は何をしてもいいのか」と、とにかく何でも質問してました。出てないシーンもこっそり見学してました。
ドラマは、お芝居を撮影して、また別の角度から同じお芝居を撮るのですが、それも知らなくて「さっきのは何がダメだったんだろう?」なんて考えていました。それくらい何もかも初めて。
──アニメのアフレコだとリテイクになったら「演技を少し変えないと」と考えてしまいそうです。
三石 「違うお芝居をしなきゃダメなのかな? 変えた方がいい?」と頭の中がぐるぐるしましたが、スタッフさんから「さっきと手の位置が違うから、同じにしますね」と直されて、別角度から何カットも撮るのだとようやく気づきました。
三石 『リコカツ』を撮影している時に発見したんですが、他の俳優さん達は自分が映っている時は本気の素晴らしいお芝居して、別のアングルから私だけ撮っている時はフラットにセリフを投げてくれる、みたいな熱量の違いを感じたことがあったんですよね。現場ではそういった発見がたくさんあって勉強になりました。
大河ドラマ本番に向け整えていく
──実写作品に出演する前に、声優仲間にアドバイスをもらった?
三石 『リコカツ』に出る前に同期の高木渉(代表作は『名探偵コナン』の高木刑事など)君に聞きました。「何をどうすればいいか全然わからない」と話したら、「とにかくセリフは全部(頭に)入れて行った方がいい」と。他にはドライ(※ドライ・リハーサル。カメラなしでシーンの頭から最後まで演じること)をやってから本番に入る、前室があってスタンバイするなど、基礎的な流れも教わりました。
渉から聞いて一番安心したのは、役者の方はシャイな方も多いということ。「口数が少なくても、俳優同士で仲が悪いとか、こちらに対して嫌な感情を抱いているわけではないから、気にすることはないよ」と事前に聞けたのがホント助かりました。
──知っていれば安心できますね。
三石 休憩中でもピンマイクがオンになっているから、音声さんにも聞こえているし、あまり世間話もできないんですよ。でも、うっかり忘れて自分のことをペラペラしゃべっていたこともあります(笑)。
──高木さんも2016年に大河ドラマ『真田丸』に小山田茂誠役で出演しています。
三石 『光る君へ』で時姫役が決まった時も、渉に連絡しました。大河の場合は、本番とは別日にリハーサルをするとか、渉の役は馬に乗るシーンもあったから、事前に乗馬のレッスンを受けたなど、役柄によって本番までに準備するものが大きく違う。私の場合は、衣装合わせや所作指導があるので、それをがんばらないといけないですね。
──今の心境は、緊張が大きいですか? それともわくわくする気持ち?
三石 今は時代劇に参加できる喜びが大きいです。着物を着るのが大好きで。いざ本番が近づいたら緊張の方が大きくなりそうですが、衣装合わせ、所作指導、リハーサルと、本番に入る前段階があるから、そこでしっかりと整えていければと思います。平安時代のきらびやかで雅な風景が映像で見られるかと思うと、私も楽しみです。(#1を読む)
(川俣 綾加)
<このニュースへのネットの反応>