【芸能】〈名前は三池嵐次郎〉上岡龍太郎が引退後に演歌の作詞をしていた 中村美律子に提供

【芸能】〈名前は三池嵐次郎〉上岡龍太郎が引退後に演歌の作詞をしていた 中村美律子に提供

【芸能】〈名前は三池嵐次郎〉上岡龍太郎が引退後に演歌の作詞をしていた 中村美律子に提供

 5月19日に亡くなった元タレント上岡龍太郎2000年に芸能界を引退してから、表舞台に立つことはほとんどなかった。しかし、その上岡が人知れず、演歌の作詞を複数手掛けていたことがわかった。「週刊文春」の取材に提供を受けた演歌歌手の中村美律子(72)が初めてその詳細を語った。

 上岡といえば立て板に水の話芸で知られ「鶴瓶上岡のパペポTV」(読売テレビ)や「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送)で一世を風靡。しかし、人気絶頂の最中に芸能界を引退した。

「僕の名前は絶対に出さんといて」密かに歌詞を提供

 その上岡が密かに歌詞を提供していたのは、紅白歌合戦に15回出場した歌手・中村美律子の楽曲『美律子の河内音頭~酒飲め音頭~』。上岡は画家ミケランジェロをもじった「三池嵐次郎」の作詞家名を名乗った。

 中村がその経緯を話す。

「上岡さんからは、『僕の名前は絶対に出さんといて』と言われました。『もし聞かれたら、医者から余命20年と宣告された大阪のおっちゃんって言うといて』と。せっかくなのに、なんでやねん、と思いましたけど、照れ隠しだったんでしょうね。だから、今までお話ししたことはありませんでした」

 上岡の8歳下で、長く関西で活躍してきた中村。若き日に営業先で出会ったのが、「漫画トリオ」の横山パンチことのちの上岡龍太郎だった。ゴルフを共にしたこともあった2人だが、これまで、作詞提供の話題が出たことはなかったという。

「共通の知人に上岡さんが『こんなん書いてんけど、みっちゃんに渡してくれへんか』と、歌詞の書かれた原稿用紙を託したんだそうです。いただいた私は驚いて、『なんで私やったんやろ』と思いました」(中村)

中村に託されていたもう1つの“幻の作品”

 預かった歌詞は、愉快に酒を勧める人生の応援歌だった。

〈さぁさ皆さん 飲んで飲んで飲んで飲んで 飲んで歌って踊ろうじゃないか〉

 中村は自身でこの歌詞に節をつけ、オーケストラ演奏をバックレコーディング2016年シングルカップリング曲として発表した。

 長らくテレビなどで披露されることはなかった。だが最近になって初めて、テレビで歌う機会に恵まれた。

「『お祭りというテーマで歌ってほしい』と依頼をいただいて、テレビ東京の番組で『酒飲め音頭』を歌ったんです。テレビでは初披露で。この収録があったのが、5月15日。まさかご本人の具合が悪いとも知らず、友人に『上岡さんにお伝えして』と頼んだんです」(中村)

 収録の4日後に、上岡は亡くなったのだった。さらに――。中村に託されたのは『酒飲め音頭』だけではなかった。もう1つ、“幻の作品”があったのだ。

「今にして思うと、上岡さんが歌ってほしかったのは、もう1つのほうだったんじゃないかな……。じつは『土佐のいごっそう』というタイトルなんです」(中村)

 いごっそう。土佐弁で「反骨の人」を指す。中村によれば、歌詞の中では土佐男の気骨が表現されているのだという。

 上岡は単にルーツである高知を讃えたかったのか。実は上岡はこれまでも、自らが影響を受けたある人物を「いごっそう」として繰り返し紹介して来ていた。それが、人権派弁護士として知られた父の小林為太郎だ。

 上岡の父・為太郎は、高知県の土佐清水出身。赤貧洗うがごとき生活の中で、学問を修め京都大学を出て弁護士になった苦労人。労働者や学生、在日コリアンにかかわる事件を数多く担当した。戦後には日本共産党から選挙に出馬し落選したこともある。

“上岡らしさ”に溢れている『土佐のいごっそう』

 一方で家庭に帰ると息子の龍太郎を溺愛していたという。長じて息子が漫才師になったときには、こう言って手放しで喜んだ。

弁護士なんか見てみい。毎日つらい、悲しい、苦しい、だました、盗んだ、殺された、こんな事ばっかり言うとるんや。それに比べてお前らは楽しい、面白い、明るい、愉快な、笑い、それをテーマにしゃべっとる。同じ言葉が商売でも、漫才師の方がずーっと上や」

 そんな父を上岡は尊敬し続けた。人気絶頂期の1993年と94年に父の故郷である高知県土佐清水市で開かれた講演会の演題は「いごっそう為さん」。また、自身の独演会でも、「俺ら天下の為さんだいッ」と題する父の一代記を講談仕立てにして披露している。

 中村によれば、その歌詞が記された原稿用紙は、“上岡らしさ”に溢れていた。

「歌詞にはいくつも土佐弁が出てくるのですが、上岡さんは一つ一つ、説明書きを加えてくれているんです。普通、作詞家さんは『はい、わかるやろ』って、渡してくるだけなのに。それを懇切丁寧に全部説明してくださるのは、上岡さんらしいと思いました」(中村)

 中村の頭の中にメロディーは浮かんできているものの、いまだレコーディングには至っていない“幻の楽曲”なのだという。

“話芸の天才”が残した最後の仕事が、披露される日を待ちたい――。

 6月7日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および6月8日(木)発売の「週刊文春」では、「探偵!ナイトスクープ」で探偵をつとめた桂小枝、長原成樹らが明かす知られざる秘話のほか、島田紳助がかつて小誌に語っていた上岡の引退理由などを詳報している。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年6月15日号)

OIF
上岡龍太郎 ©時事通信社

(出典 news.nicovideo.jp)

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