サイコパス(精神病質)はなぜ一定数存在するのか?

サイコパス(精神病質)はなぜ一定数存在するのか?

サイコパス(精神病質)はなぜ一定数存在するのか?


🤔今後どのように変化する可能性があるのか?

カラパイアの元の記事はこちらからご覧ください

 冷酷無情で罪悪感を感じず、他人を操ることに長け、良心に欠けている特徴を持つといわれている「サイコパス」は、感情の一部が欠落しているパーソナリティ障害の一種と定義されている。

 とはいえ、映画のような殺人鬼ばかりではなく、経営者や上級管理職として成功している人もいる。

 できればかかわりたくないサイコパスだが、なぜ彼らはこの世に一定数の割合で存在するのか?

 もしもサイコパスの特性が人間社会にとって不適切なものならば、彼らはだんだんと少なくなるはずだが、現実はそうではない。

 ケンブリッジ大学の進化学者ジョナサン・グッドマン氏は、進化の視点から見てみれば、サイコパスはある種の生存に好ましい特性の一種なのだそうだ。

 彼らの特徴が好ましいとはどういうことなのか? グッドマン氏の説明に基づき、以下で解説しよう。

【画像】 サイコパスの他人をあざむく能力が有利に働く

 人1人の力はたかが知れているが、人間は互いに力を合わせることで、便利な道具や大きな街を作り上げ、普通なら生きていけないような環境でも生き抜くことを可能にした。

 それが可能だったのは、他人を信頼することができたからだ。

[もっと知りたい!→]サイコパスは管理者に多いというが、果たして本当にサイコパスはビジネスリーダーとして有能なのか?(米研究)

 親や兄弟など、よく知った者同士なら信頼するのも簡単だ。

 だが、もっと大きな集団で、見知らぬ人同士で協力せねばならなくなったとき、どうすれば相手を信頼できるだろうか?

 あなたは初対面の相手と狩りに行かねばならないとしよう。見ず知らずの人間を簡単に信用してもいいものか。せっかく獲物を手に入れたのに、背後から襲われ、肉を奪われてはたまったものではない。

 このような状況では、相手をうまく信用させて不意打ちを喰らわせられるような、騙すことに長けた人間は有利な立場にある。

 だから人間は、そのような不正を防止するために、罰という強力な抑止力を考案した。このおかげで、とりわけ厳格な罰則を設けた社会では、詐欺はかなり損な選択肢となった。

iStock-1141353937

photo by iStock

社会が複雑になるほど人を騙しやすくなる

 それだけでなく、私たちは相手が信頼できる人間かどうか感じる力も発達させたと考えられている。

 だが、それは相手の信頼性をじっくり推し量るような力ではない。

 それはいわば「認知の近道」であって、相手が発するサインから信頼できるかどうか無意識に察知するような能力だ。そこに落とし穴がある。

 グッドマン氏のこれまでの研究では、社会が複雑になればなるほど、相手を騙しやすくなることがわかっているのだという。

 馴染みのあるお店ならまだしも、巨大な多国籍SNS企業が私たちの個人情報をきちんと扱っているかどうかどうすれば確認できるだろう?

 そうした相手を騙しやすい社会では、進化論的に言って、詐欺や不正は好ましい生存戦略ということになる。

 そして他人を騙しやすいほど、サイコパスにとっては有利な状況になる。何しろ彼らは、人の心を操ることが上手で、誰かを騙しても良心の呵責に苛まれることもないのだ。

 当然、世の中で成功もしやすくなるはずだ。サイコパス一般人口に占める割合は約1%だが、企業経営者や上級管理職のなかではその割合が約3%と高くなるという

 またサイコパスは表面上は魅力的で、臆面もなく不特定多数の異性と関係を持つことも多い。

 こうしたことから、グッドマン氏はむしろ「サイコパスがこの程度しかいないのは驚き」とまで述べている。

7

photo by iStock

有利に働くはずのサイコパスはなぜ増えないのか?

 他人を騙しやすい社会では、サイコパスは非常に有利なはずだ。ところが、サイコパスは想像されるほどには多くはない。前出の通り、人口の1%ほど(100人に1人)と考えられている。それは一体なぜなのか?

 グッドマン氏はその理由の1つとして、全員がサイコパスで必ず裏切られる状況では、信頼がまったく成り立たなくなるからだと述べている。

 また、サイコパスの特性が部分的にしか遺伝しないだろうことも指摘する。

 彼らの冷淡さは生まれつきのものにも思えるが、実際は育った環境によって左右される遺伝的な変化(表現型の可塑性)も大きく関係しているのだという。

 だから親から愛されず、無視されて育った子供なら、自分の身を守るために、感情のスイッチを切ってしまう可能性が高まるし、その逆もまた言える。

iStock-519501892

photo by iStock

国によってサイコパスの定義が異なる

 面白いことに、何をサイコパスと思うかは国によって違うそうだ。

 とある異文化研究によると、イラン人は、アメリカ人と比べて、人を欺くことや表面的であることを、サイコパスの兆候と思わないのだそうだ。

 とは言え、一般論としては、遺伝的な素養にくわえて、難しい家庭で育つことがサイコパスの芽を育むのだと、グッドマン氏は説明する。

サイコパスの運命は社会によって左右される

 進化論的に言えば、サイコパスは恐ろしいほどの困難に直面しても生きていくための特性だ。

 だが、それは社会によっても左右される。そこに希望の光があると、グッドマン氏は言う。

 彼らが人を騙してまで手に入れようとする成功は、私たちの社会が決めたものだ。社会がそれを良しとする限り、サイコパスは手段を選ばずにそれを手に入れようとする。

 もしも成功の定義を、良心にそって書き換えることができれば、サイコパスは邪な動機で他人を扱う必要がなくなるかもしれない。

 「進化の驚くべき点は、最終的に私たちがその形成を左右できることです」とグッドマン氏は述べている。

References:Psychopaths Appear to Possess a Mysterious Evolutionary Benefit : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

 
画像・動画、SNSが見られない場合はこちら

サイコパスはなぜ一定数存在するのか?今後どのように変化する可能性があるのか?

(出典 news.nicovideo.jp)

続きを読む

続きを見る(外部サイト)

雑学・ネタカテゴリの最新記事