【芸能】いま「結ばれない」恋愛が支持される理由とは? 芸能人夫婦の結婚生活を描く『わた婚』プロデューサーに聞く

【芸能】いま「結ばれない」恋愛が支持される理由とは? 芸能人夫婦の結婚生活を描く『わた婚』プロデューサーに聞く

【芸能】いま「結ばれない」恋愛が支持される理由とは? 芸能人夫婦の結婚生活を描く『わた婚』プロデューサーに聞く

 『今日、好きになりました。』(以下、『今日好き』)、『オオカミには騙されない』(以下、『オオカミ』)などティーン向けの恋愛番組で覇権を握っているABEMA。そんななか、 “もしも、あの芸能人たちが結婚したら…!?”をテーマに、有名人同士が期間限定の結婚生活を送るABEMAオリジナルの結婚モキュメンタリー番組『私たち結婚しました』(以下、『わた婚』)が2021年スタート。話題性はさることながら、主にF1層(※20歳~34歳の女性)から支持される番組として人気を確立した。恋愛、結婚観についてアップデートが続く昨今。ABEMAはどんな恋愛番組を作ろうとしているのか。『わた婚』のプロデューサーを務め、『シャッフルアイランド』や『今日好き』など幅広い世代から支持される番組に携わる吉澤美玖氏に話を聞いた。

(参考:【写真】『わた婚4』久保田悠来&貴島明日香夫婦の最終回でのキスシーン

・F1層からも10代向けの『今日好き』が支持されるわけ

--2022年ABEMAの恋愛番組を振り返って、いかがですか?

吉澤美玖(以下、吉澤):昨年は、『私たち結婚しましたシーズン2 ~シーズン4を配信したほか、『シャッフルアイランド』や『HEART SIGNAL JAPAN』など、F1層向けに新規の作品を多く配信した年でした。

--F1層向けにというのは、意識されていたのでしょうか。

吉澤:そうですね。2021年ごろから、「ターゲット層をもっと広げよう」という声が上がっていました。『わた婚』シリーズも、そのタイミングでF1層の女性に興味を持っていただけるのではという思いで制作に至りました。

--ABEMAでは『オオカミ』や『今日好き』など10代・20代を中心として視聴される番組が人気な印象がありますが、『わた婚』のスタートで変化はあったのでしょうか?

吉澤:2021年ごろから『わた婚』ほか作品含めF1層向けのラインナップを強化しておりましたが、『わた婚』シーズン2の最終回にて100万視聴を突破したことも1つのきっかけとなり、F1層の方々にABEMAの恋愛番組を知っていただき、準備していた新規恋愛番組もF1層の方々を中心に楽しんでいただけるようになったのかなと感じます。

--ほか動画配信サービスでもF1層向けの番組が支持されているように、ABEMAのなかでも需要が高まっているのでしょうか。

吉澤:そうですね。ABEMAでも、作品テーマが”結婚”であったり、出演者の年齢が20代以上であったりなど、F1層の視聴者の方々の興味に沿ったものが支持されやすいですが、意外と高校生の恋愛番組である『今日好き』シリーズもF1層の方々に支持いただけているんです。

--たしかに。私のまわりでも、観ている人が多いです。

吉澤:ありがとうございます。『今日好き』は、10代にとってはリアルなものでも、学生を卒業したF1層にとっては、少女漫画を観ている感覚に近いのかもしれません。120%の全力で恋愛と向き合うのは、あの頃特有の感覚。自分がもう体験できないものに触れたいみたいなところがあるのかもしれないですね。

ーーF1層向けの番組には現実的なこと、10代向けの番組には非現実的なこと、それぞれ別の楽しみ方を求めて観ているのはF1層ならではの視聴方法ですね。

吉澤:そうですね。自分と少し年齢が離れている出演者がいる番組だったとしても、自分ごとというよりかは第三者目線で観て、ちょっと俯瞰して応援できたり。F1層に向けて作られた恋愛番組とはまた違った視点で楽しんでいただけるのかなと感じます。

2022年にはF1層向けに『シャッフルアイランド』『HEART SIGNAL JAPAN』が配信されたと思います。これらの2作品は特に個性が強く、王道の恋愛番組が苦手な人にも刺さりそうです。

吉澤: 『HEART SIGNAL JAPAN』は、F1層が憧れる「韓国男子との恋」を捉え、韓国男子ならではのアプローチをより楽しめる作品になっているかと思います。『シャッフルアイランド』は南国の2つの島で水着の美男美女たちが繰り広げる「恋の花いちもんめ」が着想になっており、あまりABEMAの恋愛作品では少なかったルール性・ショー要素の強い作品になっています。

 10代は学校というコミュニティがある分、比較的「みんなが観ているから、私も観なきゃ」という動きも生まれやすかったりするのですが、F1層は世代として捉える難易度が高く、また日常利用するSNSも自分の“好き”に合わせた情報がレコメンドされるようにもなってきているので、多様化するF1層の興味関心を抑え、コアな熱源となる方々に選ばれていく必要があると考えています。そのため、明確でわかりやすいコンセプトを提示するように心がけています。

--世代によって視聴形態も違いそうですね。10代はリアルタイム視聴が多いのでしょうか?

吉澤:そうですね。放送当日にリニア視聴で見てコメントや放送前後のSNS投稿を楽しみ、翌日学校でもみんなと同じ話題で盛り上がるという視聴形態なのかなと感じています。その一方で、F1層は自分の生活のペースに合わせて、見逃し視聴が多かったりします。

・「結婚するまで」ではなく「結婚してから」を描いたわけ

--2021年7月にスタートした『わた婚』は、ABEMAのなかでも異質な番組ですよね。

吉澤:F1層向けの恋愛番組のアイデアを探しているなかで、韓国の国民的大ヒット番組『私たち結婚しました』(MBC)に出会いました。韓国版は仮想バラエティ番組として、長期間結婚生活を送った夫婦などもおり、レギュラー放送されていた番組でした。一方でABEMAでは1シーズン10話で終わりを迎えると決めてから、期間限定の結婚生活で夫婦の関係性がどのように変化していけば面白いか? 試行錯誤しながら、細やかなリメイクを入れつつ番組を作っていきました。

--F1層向けの恋愛作品を作るにあたり、「付き合う」ではなく「結婚」をテーマにした理由はあるのでしょうか。

吉澤:F1層にとって結婚はかなり大きなライフイベント。結婚するにしてもしないにしても、20代~30代の間にみなさん一度は向き合うテーマだと思うので、F1層の方に親近感を持っていただきやすいということが大きいです。また、夫婦・結婚がテーマになることによって、駆け引きだけじゃない関係性を描けるということもあります。恋愛番組は、結ばれるまでをゴールにしたものが多いので、どちらかが困難にぶち当たった時、どう乗り越えていくか? 足りないところを、どう補い合っていくか?など、夫婦としての関係性をメインにした恋愛番組はあまりなかったのかなと思います。

ーー多様性を求める時代への移り変わり、そのなかで起きたコロナ禍と、ここ数年で人々の恋愛観は大きく変化したと思うのですが、それに対してどのようなアプローチをしていこうなど考えていることはありますか?

吉澤:恋愛の形に変化はありましたが、恋愛の根底にある「心と心の繋がり」に関してはずっと変わっていないのかなと感じています。心が動く瞬間、繋がる瞬間を捉えて、その瞬間を丁寧に描いていきたいと思っています。

ーー最後に、今後のABEMAの恋愛番組でチャレンジしたいことを教えてください。

吉澤:これまで10代・F1層向けに様々な恋愛番組を展開してきましたが、それらを引き続き何年も楽しんでいただける、愛される番組に育てていきたいと思っています。少し前までは、恋愛番組自体が珍しいものでしたが、いまはたくさんの作品が生まれているからこそ、これからは恋の落ち方だったり、心の対話だったり、それぞれの作品独自が持つ良さを繊細に描いていけたらと思っています。また、より多くの視聴者の皆様にABEMAの恋愛番組を知り楽しんでいただけるような、新たな作品にも挑戦していきたいと考えています。

(文=リアルサウンド編集部)

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『わた婚』プロデューサー・吉澤美玖(写真=はぎひさこ)

(出典 news.nicovideo.jp)

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