【芸能】「昔は湯婆婆が怖かったけど、今は共感しています」35歳になった千尋役・柊瑠美が出産後に『千と千尋』を観て“気づいたこと”

【芸能】「昔は湯婆婆が怖かったけど、今は共感しています」35歳になった千尋役・柊瑠美が出産後に『千と千尋』を観て“気づいたこと”

【芸能】「昔は湯婆婆が怖かったけど、今は共感しています」35歳になった千尋役・柊瑠美が出産後に『千と千尋』を観て“気づいたこと”

「知らない人に電話で『千尋の声やって!』と言われて…」『千と千尋』のヒロイン・柊瑠美が大ヒット後にモヤモヤした“周囲の反応” から続く

 2001年公開のジブリ映画千と千尋の神隠し』の主人公「千尋」役を演じたことで、一躍時の人となった女優・柊瑠美さん(35)。

 今年で芸能界入り30周年を迎える柊さんに、スタジオジブリとの関係や、これまでの芸能生活について話を聞いた。(全3回の3回目/2回目から続く

◆◆◆

ポニョアフレコ時に宮崎監督と石田ゆり子さんとお茶をして…

――柊さんは2001年の『千と千尋の神隠し』以降も、いくつかのジブリ作品に出演されていますよね。

柊瑠美さん(以下、柊) 2008年に『崖の上のポニョ』、2011年に『コクリコ坂から』、そして2020年には『アーヤと魔女』に声優として出演させていただいています。

――『千と千尋』はオーディションで出演が決まりましたが、その後の依頼はどのように来たのでしょうか?

柊 事務所を通してご依頼いただくことが多かったです。ただ、大学在学中にオファーをいただいた『ポニョ』は少し違っていました。

 その頃、学業に専念するためにお仕事を一時的にお休みしていたんです。そしたらある日突然、自宅に「スタジオジブリですが、瑠美さんはいますか」と電話がかかってきて。ちょうど「そろそろお仕事を再開したいな」と思っていたので、タイミングの良さにびっくりしました。

――宮崎駿監督から直接連絡が来るのでしょうか?

柊 いいえ。そもそも、宮崎監督と直接話したことはそんなに多くはなくて。アフレコの現場では、アドバイスをいただくのは音響監督からがほとんどでしたし、舞台挨拶でも同じ舞台には立っていても、会話をする場面はほとんどない。

 でも『ポニョ』のアフレコのときは、なぜか宮崎監督と女優の石田ゆり子さんと私の3人でお茶をしたことがありました。何を話したのかは忘れてしまったのですが、監督とゆっくりお話をしたのは多分そのときが初めてでしたね。当時は「すごいメンバーとお茶をしている」と緊張しました(笑)

6歳で子役デビュー、小学5年生時に芸能界を辞めようとした

――柊さんは今年で芸歴30年を迎えるそうですね。デビュー当初はどんなお仕事をされていたんですか。

柊 6歳から子役として活動していて、初めての大きな仕事はCMだったかな。でも、大失敗した記憶があります……。

――どんな失敗を?

柊 撮影現場って、大きいカメラがたくさんあるんですよ。その光景が珍しかったので、撮影中もじいっとカメラを見つめちゃったんです。スタッフさんたちから何度も「カメラ目線はやめてね」と注意されたのに、どうしても気になってやめられなくて。

 その撮影でスタッフさんたちに迷惑をかけてしまったから、そのあと同じ制作会社のオーディションに行っても「あの子カメラを見ちゃうからダメだよ」と判断されて何度も落ちたことがありました。

 それでも続けていたら、少しずつお仕事をいただけるようになって。しばらくは再現VTRのお仕事を中心にしていましたね。ただ、小学校5年生のときに「もう辞めよう」と思って事務所に相談したことがあります。

――なぜ辞めようと思ったのでしょう。

柊 なかなかオーディションにも受からないし、もうすぐ中学生になる頃だったので。だから母と話し合ったあと、母を通して事務所に辞める意向を伝えました。

 そしたら当時のマネージャーが「じゃあこれで最後にしよう」と持ってきてくれたオーディションで、まさかの合格をいただいてしまったんです。

NHK朝ドラすずらん』のオーディションにまさかの合格

――そのオーディションとは?

柊 1999年に放送された、NHK連続テレビ小説すずらん』のオーディションです。私が受けたのはヒロイン子ども時代の役だったんですけど、予想外トントン拍子で選考が進んでいって……。

 あんなに落ち続けていた私が、まさか朝ドラに抜擢されるなんて夢にも思わなかったから、自分自身はもちろん家族も事務所も大騒ぎでしたね。

――それまでは落ち続けていたのに、『すずらん』のオーディションで受かった理由はなんだったと思いますか。

柊 開き直ったからだと思います。「どうせ落ちるからいいや!」と思っていたから、緊張せずに素のままでできたのかなって。これまでを振り返っても、良い結果が残せたときはだいたい開き直っているときというか、緊張していないときなんですよね。

 2009年から4年間務めた『ニャンちゅうワールド放送局』(NHK Eテレ)のおねえさん役に抜擢されたときもそうでした。『ニャンちゅう』でもオーディションがあったのですが、それが「魔女の格好で演技をする」「絵描き歌を歌う」という2つの内容だったんです。

 私は歌も絵も特別うまいわけじゃないから、絵描き歌を歌うときは「うまい人が受かるんだろうな。じゃあ私は楽しくやればいいか」と開き直って。魔女の演技では、他の方たちがかわいい魔女を演じる中、私はグリム童話とかに出てきそうな怖い魔女をやったんですよ。「いっひっひ、うさぎの毛を刈ってうさぎ汁を作ってやったぜ〜」みたいな。

 そしたら後日、合格の連絡をいただいて。しかも、満場一致だったらしいです(笑)

野ブタ。をプロデュース』出演中に食事が喉を通らなかったワケ

――『すずらん』のオーディションの合格は、柊さんのターニングポイントになったんですね。

柊 そうですね。もし受かっていなかったら、きっと今こうやって取材を受けることもなかったですから。そして、合格して芸能活動を続けてきたからこそ、『千と千尋』という代表作にも出合えました。

――『千と千尋』の4年後には、ドラマ野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)でいじめっ子役を演じていましたね。

柊 いじめっ子の役を演じるのは本当にしんどかったです。思わず耳を塞ぎたくなるようなセリフが多くて、ストレスで一時期ごはんも食べられなくなってしまって。

――それはどうやって乗り越えたのでしょうか。

柊 その役に共感できるところを見つけるというか。とにかくひどいヤツなんだけど、そういう性格になってしまった背景を考えると、共感できる部分もなくはないなと。そうやって少しずつ理解していきました。

 あとは開き直りですね。演技だからこそ、普段なら共感できない役や理解できない役だってできる。それもお芝居の楽しみ方のひとつだなって。つらかったけど、『野ブタ。』を通じて演技の幅は広がりましたね。

出産後に『千と千尋』を観て“気づいたこと”

――プライベートでは、2021年末に第1子をご出産されたそうですね。

柊 そうなんです。ちょうど1歳になったばかりで、すごくかわいい。だけど、とにかく目が離せない! 

 妊娠・出産前からお仕事で“ママ”を演じることは何度もあったし、姉や友達の子どもと接する機会も多かったから「子どもができるってこんな感じなんだろうな」と想像はしていたんですけど……。想像よりはるかに大変でした(笑)

――子どもが生まれてから『千と千尋』の見方に変化はありましたか。

柊 昔は千尋視点でしか観ていなかったから、湯婆婆は「怖い」存在だったけど、今は坊を溺愛する姿に「わかる!」と共感してしまいます。

 また、千尋のお母さんに対しては「なんで千尋に対してそっけないんだろう、千尋がかわいそう」と思っていたけど、今なら「日常の一部を切り取っているだけなんだろうな」「私だって四六時中ニコニコは無理だもんな」と裏側もイメージするようになりました。

――『千と千尋』は2022年橋本環奈さん、上白石萌音さんのダブル主演で舞台化もされましたよね。

柊 舞台「千と千尋の神隠しSpirited Away 」でも新しい発見がありましたね。演じているのは同じ「千尋」なのに、橋本環奈さん、上白石萌音さんの「千尋」はものすごく可愛くて魅力的なキャラクターに見えました。そういえば、昨年末には、舞台のドキュメンタリー番組『もうひとつの千と千尋の神隠し〜舞台化200日の記録〜』(NHK BS4K)のナレーターを私が務めたんですよ。

 一時期は千尋であることにモヤモヤしていたけど、私のお仕事の幅を広げてくれたのは千尋です。節目節目でこうやって取材していただく機会もありますし。やっぱり私の代表作は『千と千尋の神隠し』なんですよね。

撮影=石川啓次/文藝春秋

(仲 奈々)

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柊瑠美さん ©石川啓次/文藝春秋

(出典 news.nicovideo.jp)

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